亡くなった夫の親が遠方在住で認知症…、遺産分割協議ができず、相続税申告も間に合わない!?

相続税に関して、当事務所にご相談いただいた方の実際にあった事例をご紹介します。今回は、相続人のひとりが遠方在住で、しかも認知症を患っている状態で、相続を進められなかった方からのご相談事例です。

相談者J様

年齢60代

性別女性

居住地福島県郡山市

職業主婦

財産内容

  • 相続人数:2名
  • 財産内容:預貯金6000万円、生命保険3000万円、その他財産500万円

ご相談の内容

J様の旦那様は病気で急逝されました。J様ご夫妻には子供がおらず、相続人にはJ様だけでなく旦那様のお父様も該当します。しかしながら、旦那様のご実家はかなり遠方な上、お父様は認知症にかかっており、話をするのも一筋縄ではいかない状況でした。その上、J様の旦那様はお金の管理をすべて自分自身で行っていて、J様は家計や財産のことを何も伝えられていませんでした。

旦那様が亡くなられた後、J様は遠方に住む認知症の相続人の対応も分からず、自分が相続する財産もはっきりとせずで、途方に暮れてしまいました。旦那様の口座があった金融機関でどうしたら良いか相談したところ、専門家に相談することを強く勧められ、ベストファームに相談にいらっしゃったそうです。

ベストファーム税理士法人による対応

相続人が認知症などで判断能力が低下している場合、その方を遺産分割協議に参加させても、その遺産分割の内容は認められません。分割内容が確定しないので、亡くなった方の預貯金を下ろしたりなど、財産を動かす行為も出来なくなります。このような場合は、成年後見制度を利用して遺産分割を進めます。成年後見制度とは、認知症になった人の代わりに財産管理や重要な契約などを行う「後見人」という人を立てる制度です。しかし、この後見人を立てるためには、家庭裁判所に申し立てを行う必要があり、手続きに月単位の時間を要します。つまり後見人を立てて遺産分割協議を行うところまでスムーズに進められないと、10か月しかない相続税の申告期限に間に合わなくなる可能性も出てくるのです。

当事務所では状況を整理して、①認知症のお父様に後見人を立て、②遺産分割協議を行い、③相続手続きを進め、④相続税申告を期限内に間に合わせる(配偶者の税額軽減を使う)のステップで手続きを進めることにしました。一番の難関は、お父様が住むエリアにいる後見人申し立てを行ってくれる司法書士などの資格者を探すことです。当事務所では提携先を頼って、様々な伝手から引き受けてくれそうな先生を探しました。そうしたところ、1名司法書士の先生が引き受けてくださり、無事後見人を立てることができました。これよって遺産分割協議が進み、無事遺産を受け取ることができただけでなく、配偶者の税額軽減も適用できてJ様の納税はなくなりました。

生前の話し合いや遺言を作っておきましょう

相続人に認知症の方がいる場合は相続手続きがとても難しくなります。今回の場合は、もしJ様の旦那様が遺言書を残しておいてくれれば、遺産分割協議が必要なくなり、J様は何も困ることがなく相続できました。生前に遺産のことを考えたり、話しあったりすることは少しはばかられるかもしれませんが、困るのは遺された家族なのです。生前対策や家族との話し合いをしっかり行っておきましょう。万が一、今回のようなケースに陥った場合は、迅速に専門家に相談してください。時間が過ぎれば過ぎるほど対応が後手に回り、難易度が高くなってしまいます。実績豊富なベストファームなら、様ざまなケースに対応できますので、お困りになったら頼っていただければと思います。