自分の葬式にかけたいと思うほど、好きな曲はありますか?自分の葬式に好きな曲をかけて、思い通りの幕引きを演出したい方もいらっしゃると思います。
ただ、葬儀は神聖な儀式ですし、葬儀に参列した方々は悲しみに暮れ、あなたのことを偲んでいます。
自分の好きな曲だからという理由だけで、深く考えずに選曲してしまうと、「なぜ葬儀でこの曲?」と参列者を困惑させたり、葬儀の雰囲気を壊してしまったりするかもしれません。
今回は自分の葬儀にかける曲を選ぶ際の考え方や、葬儀にも流せる定番の曲を紹介します。自分のエンディングを希望どおりに演出したい方は、ぜひ選曲の参考にしてください。
また、自分の葬式でかけたい曲を流すために周囲に意思を伝える方法も紹介します。自分の葬式でかけたい曲を周囲に託して、希望どおりの葬儀を実現してもらいましょう。
自分の葬式にかけたい曲があるときに知りたい葬式の「マナー」
葬送曲(葬儀の曲)は一般的に喪主・遺族側で自由に決め、葬儀社や葬儀場に依頼します。実際に「故人が好きだった曲」という理由で葬送曲として採用されるケースも多くあります。
また葬儀の内容は基本的に故人の希望が優先されます。「自分の葬式にかけたい曲がある」という意思が家族・友人と葬儀社にきちんと伝わっていれば、生前に自分で選んでおいた曲を流してもらえます。
自分の葬式にかけたい曲があるとき、次の2つに注意しましょう。
葬儀で流す曲の著作権に注意
葬儀で流す曲を自由に選べるとはいっても、著作権は侵害してはいけません。
「日本音楽著作権協会(JASRAC)」に許諾を得ずに音源を流したり生演奏をしたりすると、葬儀社側が著作権支分権の一つ「演奏権」を侵害してしまう恐れがあります。
著作権を侵害してしまった場合、遺族側が責任を問われることはありませんが、曲を流した葬儀社に迷惑がかかってしまいます。
家族・友人には葬儀社に著作権についても確認するように言い伝えておく必要があります。
葬儀の雰囲気を壊さない、葬儀社・参列者への配慮
自分の好きな曲を自分の葬儀でかけることができるとは言っても、日本古来の伝統や風習に沿った葬儀を大切にする方はまだまだ多く、曲によっては参列者に「この曲を今流すのか」「場違いではないか」などと苦情が寄せられ、家族や葬儀社にも迷惑がかかってしまうこともあります。
形式や格式を重んじる方々への配慮も忘れないようにしましょう。
実際に選曲する際には、葬儀にかけたい曲の候補をリストにして、次のような基準で絞り込んでみましょう。
- スローテンポで穏やかなもの
- 優雅な雰囲気や威厳を感じる雰囲気のあるもの
- 歌詞に故人を偲ぶようなフレーズのあるもの
- 家族や知人・友人に意見を伺い「葬儀で流せそう」と返答が来たもの
アップテンポや派手すぎる曲調が全てNGではないですが、葬儀の雰囲気に合いにくいでしょう。イメージが中々つかめないと思うので、葬儀でよく使われる名曲をいくつかご紹介します。
自分の葬式にかけたい定番の名曲14選
これから紹介するのは実際に葬儀でかけられている定番の名曲14選です。
「定番」ですので自分の葬式にかけたい曲の候補が決まっている場合もこちらの曲を参考に、なるべく曲調の近いものを参考にするのが無難かもしれません。
モーツァルトの「レクイエム」
モーツァルトが最後に作曲したレクイエムはフォーレ、ベルディのレクイエムと並び「三大レクイエム」とも称されるほど絶大な人気を誇る荘厳な鎮魂歌で、亡くなった方の魂を鎮めるために葬儀に採用されることも多い曲です。
ナクソス・ジャパン株式会社
「別れの曲(練習曲作品10第3番ホ長調)」
ショパンの生涯を描いた1934年のドイツ映画「別れの曲」でこの曲が使われたため、映画の邦題がそのまま定着しました。
タイトルから葬儀の曲として相応しいことがうかがえますが、静かなピアノの旋律からの中盤の盛り上がりでこみ上げてくる悲しさを表現しているようですね。
ナクソス・ジャパン株式会社
「G線上のアリア(管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068)」
パイプオルガンの重厚感とヴァイオリンの美しいメロディが叙情的な曲調を醸し出しており、安息を願う葬儀の場面に合っています。
洗足学園音楽大学 Senzoku Gakuen College of Music
パッヘルベルの「カノン」
明るい曲調なのですが、卒業式や結婚式などでよく採用される通り、悲しみの中でも前向きに次の段階に進んでいこうとする気持ちを奮い立たせてくれます。
ナクソス・ジャパン株式会社
中島みゆきの「時代」
今までの人生を振り返るような歌詞が葬儀に合っており、「生まれ変わる」といった歌詞や中島みゆきの力強い歌声が悲しみを受け止めて前向きな気持ちにさせてくれる曲です。
Yamaha Music Entertainment Holdings Inc.
美空ひばりの「川の流れのように」
美空ひばりが最後に歌った、言わずと知れた名曲。思い出を想起させるような歌詞があり、おだやかで川の流れのような人生を表現しています。最後に自分の人生を思い描いてほしいときにおすすめです。
Nippon Columbia Co., Ltd./NIPPONOPHONE
坂本九の「見上げてごらん夜の星を」
こちらも言わずと知れた坂本九の名曲です。悲しみに暮れている参列者に、少し視点を変えてみないかと励ましかけているような曲です。
EMIミュージック・ジャパン
秋川雅史の「千の風になって」
「私のお墓の前で泣かないでください」というフレーズが有名で、葬送曲にもよく使われます。「風」になるという表現で、死を感じさせず、前向きな気持ちにさせてくれます。
https://youtu.be/sH9JkASgHrk
株式会社テイチクミュージック
夏川りみの「涙そうそう」
沖縄ソング特有の明るい曲調に気を取られてしまいますが、歌詞に注目すると別れた人への再会を願う切ない思いにさせられます。意外と葬儀に使える曲となっています。
ビクターエンタテインメント
MISIAの「逢いたくていま」
二度と会えなくなった大切な人にひたすらに会いたいと訴える歌詞が参列者の気持ちを代弁しており、JPOPでありつつも葬儀の雰囲気を壊しにくい曲調となっています。
アリオラジャパン
「Amazing Grace(アメージング・グレース)」
18世紀、作詞者で奴隷商だったジョン・ニュートン自身が奇跡的な体験を通し、神の恵みに目覚めた時の想いをつづっています。
賛美歌なので神の恵みに感謝する気持ちの方が強いです。「ありがとう」という気持ちで送り出すときに使える曲となります。
日本コロムビア
ビートルズの「Let It Be(レット・イット・ビー)」
世界的バンドの曲を葬儀で使いたいと思ったらまず行きつくのはビートルズのLet It Beでしょう。歌詞も「あるがままに」とあり、参列者の気持ちを励ますような曲となっています。
Calderstone Productions Limited (a division of Universal Music Group)
「Over the Rainbow(オーバー・ザ・レインボー)」
「オズの魔法使い」でジュディ・ガーランドが歌った劇中歌。歌詞は虹の彼方にある国に向けて旅立つというもので死という現実を払拭してくれます。穏やかな曲調で葬儀にも使えます。
Turner Entertainment Co. and Warner Bros. Entertainment Inc.
エリック・クラプトンの「Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘヴン)」
エリック・クラプトンがまだ4歳だった息子を不慮の事故で亡くした際に息子を思って作った曲です。天国での再会を願う曲となっています。
King Street
もっと個性を出したい!自分の葬式にかけたい曲はどうしても譲れない場合に考えること
ここまでに紹介してきた定番曲には、穏やかな曲調で、人生を振り返る歌詞が含まれる、という共通点があり、葬儀には馴染みやすいものばかりです。
無難な選曲をしたい場合は、定番に近い曲調の曲を葬送曲に採用しましょう。
しかし、「辛気臭いのは嫌だ!自分の葬儀ではロックな曲でみんなに騒いで盛り上がってもらいたい」という考えの方もいるかもしれません。
自分の葬式にかける曲に譲れないこだわりがあって、どうしても定番の曲は流したくない場合はどうしましょうか?
冒頭で述べた通り、葬儀では故人の最後の意思が尊重されます。
たとえ葬儀の雰囲気に合わないようなアイドルソングやアニソン、ゲームBGM、ハードロックであっても、故人たっての強い希望があればそれを叶える形で流すことは不可能ではありません。
故人の希望を叶えた例で有名なのは石原裕次郎や桑名正博です。
石原裕次郎の葬儀では自身が唄ったヒット曲「夜霧よ今夜もありがとう」が流れましたし、桑名正博の葬儀では自身のヒット曲を妹や長男が熱唱、大阪市・御堂筋をリンカーン霊柩車でパレードするという大変にぎやかな葬儀で話題となりました。
ただ、これらの著名人ではない一般の方が行うのは少しハードルが高いかもしれませんね。
自分の葬式で曲は何曲流せる?流すタイミングは?
実は葬儀では音楽を流すタイミングがある程度決まっています。
- 葬儀の開式前
- 故人の紹介
- 弔電やお別れの言葉の読み上げ
- 棺へ思い出の品々を入れるとき
- 出棺時
など
上記のタイミングに合わせ、多くても5曲程度を流すことができます。特に「故人の紹介」のタイミングでは故人の人生を振り返るので、故人の好きだった曲が流れることもあります。
このタイミングなら曲調をあまり気にせず、自分のかけたい曲を流しやすいかもしれません。
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自分の葬式にかけたい曲の音源の手配について
一般的に葬儀で流したい音楽がある場合は、喪主・遺族側が葬儀社との葬儀打ち合わせ時にCDなどの音源を渡す必要があります。
自分の葬式にかけたい曲がある場合、家族や知人・友人に「自分の葬式にかけたい曲があるのでこのCDを葬儀社に渡し、自分の葬儀の○○のタイミングで流せないか相談してほしい」という意思を伝えて音源を渡しておきます。
この際、曲目を伝えるだけだと相手も忘れてしまうので、音源としてCDを渡しておくのが確実です。
また、葬儀場によっては音漏れがひどかったり、音響設備がないために音楽が流せない場合もあります。
葬儀社に相談する際は「葬儀場に音響設備が備わっているか」「防音性能は高いか」確認するように伝えておきましょう。
生演奏を依頼したい場合は、葬儀社によっては「生演奏」のプランを用意しているところもあるので、葬送曲の生演奏をお願いできる葬儀社に葬儀を依頼するように伝えておきます。
最後に、冒頭でも述べた通り、著作権にはご注意ください。
参列者や葬儀社に気兼ねせず自分がかけたい曲を自分の葬儀でかけるなら「音楽葬」
幕引きの際に自分らしさを音楽で演出したいのであれば、音楽で故人を送り出す「音楽葬」がおすすめです。音楽葬はその名の通り、音楽が葬儀の軸となり、流す曲目のジャンルは問われません。
音楽葬には読経や焼香などの儀式がない自由度の高い無宗教形式で音楽葬を行う場合と、一般的な仏式葬儀に音楽の演奏を取り入れる場合の2パターンがあります。
音楽葬を提供している葬儀社をいくつか調べておき、こちらも家族や友人に意向を伝えておくと良いですね。
ただ、無宗教形式で音楽葬を行う際に、先祖代々お付き合いのある菩提寺がある場合は注意が必要です。
菩提寺を無視して音楽葬を取り入れると、あとあと菩提寺にある先祖代々のお墓に納骨できなくなる恐れがあるので、菩提寺の住職にも相談しておきましょう。
自分の葬式にかけたい曲があるならエンディングノートで意思を伝える
自分の葬式にかけたい曲のイメージは固まりましたか?
今回の記事では葬儀にかけられる曲の選び方や邦楽や洋楽、クラシックの定番曲、葬式にかけたい曲がある際に考えるべきことをご紹介しました。
この記事を参考に選りすぐりの曲を自分の葬儀に流し、最高のエンディングにしましょう。
また、音源の葬儀の手配、曲を流すタイミングなど、家族や友人に伝えておかなければならないことがたくさんありましたね。
分の葬式にかけたい曲があるという意思を家族や友人に伝えるならエンディングノートがおすすめです。
エンディングノートとは自身の死後や万が一の事態を想定して、家族や親しい人へのメッセージを書き残すものです。詳しい書き方については以下の記事をご覧ください。
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