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自治体に死後の手続きを任せることはできる?死後事務委任契約とは?

死後事務

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死後には、各種届出や葬儀の手配、火葬、埋葬、ライフラインの解約、遺品整理などのさまざまな手続きが発生します。一般的に、これらを死後事務と呼びます。死後事務を担うのは亡くなった方の親族です。

しかし、死後事務の負担を親族に背負わせたくない、そもそも身寄りがいないなどという理由から「死後事務を自治体などに委任できないか」と問い合わせる人が増えています。

ここでは、自治体に死後の手続きを任せられるか、死後の手続きの対策をしなかった場合にどのようなことが起こるのかについて解説します。

亡くなった後の手続き『死後事務』とは|周囲への影響は?

前述のとおり人が亡くなると死後事務が発生します。死後事務の中には次のようなものがあります。

  • 自治体などへの届け出
  • 葬儀・火葬・埋葬
  • 遺品整理や部屋の清掃
  • 新聞などの定期購読やサプリなどの継続購入の解約・精算
  • ライフラインや通信機器の解約・精算
  • スマホで課金しているアプリなどの解約
  • ペットの引継ぎ

死後事務には「期限」があるものもあります。期限がある死後事務に関しては、期限に間に合うように迅速に手続きを行わなければなりません。

たとえば、亡くなった直後の手続きである「死亡届」と「埋火葬(埋葬・火葬)許可申請書」を、亡くなってから7日以内に故人の居住地、本籍地、または死亡場所のいずれかの市区町村役場へ提出することになっています。

また、「年金受給者の死亡届」は、死亡から10日(国民年金は14日)以内に年金事務所または年金事務センターへ、除籍謄本や年金証書などの書類と一緒に提出しなければなりません。

そのほかにも、「介護保険受給資格喪失届」を14日以内に管轄市区町村役場の介護保険窓口へ提出するなど、遺族は、故人の死亡直後から手続き用の書類集めや提出のために東奔西走することになります。

上記はあくまで一例であり、住民票の抹消など、死後に必要な手続きは枚挙にいとまがありません。死後に必要な手続きが終わるまでは、忙しさのあまり故人の死をゆっくり悼む時間すらとりにくいというのが多くの遺族の実情です。

自分の死後を誰かに託してトラブル防止『死後事務委任契約』とは?

死後事務委任契約とは、指定した死後事務手続きを元気なうちに第三者へ委任する契約です。自分の死で他の誰かに迷惑をかけないかといった不安を解消できる終活の一つとして注目を集めています。

たとえば、葬儀に関する死後事務委任契約の場合、葬儀社や喪主の指定、葬儀に参列してほしい人、料金の支払い方法などを契約の中で詳細に定めておきます。

受任者(死後事務をお願いする相手)は、委任者である本人の死後、契約書に定められたとおりの葬儀の手配を行わなければなりません。本人の希望をしっかりと叶えられるという点は、死後事務委任契約の大きな魅力です。

ただし、死後事務委任契約には費用が発生します。死後事務委任契約のサービスの費用相場は契約内容次第で異なりますが、諸々合わせて10万円以上はかかると考えておきましょう。

業者を利用せず、友人や親族などに死後事務をお願いするなら費用はかかりません。しかし、単なる口約束では契約通りに履行してもらえないかもしれません。

また、個人間で死後事務委任契約を締結する際は予想外のトラブルが発生するかもしれないので、専門家のアドバイスなしに締結するのは避けるのが無難です。

おひとりさまや親族や友人に負担をかけたくないといった場合は、信頼できる民間事業者が提供する死後事務委任契約サービスを利用するのが良いでしょう。

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自治体、社会福祉協議会に死後の手続きを依頼できる?

死後に必要となる手続きのうち、自治体が担ってくれるのはほんの一部分です。具体的には自治体が行うのは身寄りのない死亡者の火葬などの最低限の手続きのみで、葬儀や遺品整理などの踏み込んだ手続きを担うことはありません。

自治体が市民と直接死後事務委任契約を結んで死後の手続きを行うことはありません。ただし窓口で相談すれば死後事務委任契約を結べる業者を紹介してくれるケースはあります。

一方で社会福祉協議会の場合、死後事務委任契約を取り扱うところもあります。とはいえまだまだ少数なので、最寄りの社会福祉協議会に確認しましょう。

葬儀や遺品整理などの死後の手続きにおいて、叶えたい希望や理想がある場合は「死後事務委任契約」を締結できる専門家や事業者を利用しましょう。

おひとりさまが何も対策をせずに亡くなってしまったらどうなる?

独り暮らしで身寄りがいない、いわゆる「おひとりさま」が何も対策をせずに亡くなると、多くの問題が生じます。

たとえば、遺産や遺品を希望通りに処理してもらえない、遺体の発見が遅れて異臭が発生して近隣に迷惑をかける、遺品が整理されないまま放置されるといった問題です。

また、市営住宅には、おひとりさまの死後、相続人が見つからないせいで遺品が手つかずになっている「遺品部屋」も存在していると言われています。

そのような状況であっても、上述のとおり、自治体は最低限の手続きしか担ってくれないため、元気なうちに死後事務委任契約を締結して、死後の手続きを誰かにお願いしておくなど対策を講じておくことが重要です。

死後事務委任契約に弱点?対策は?

死後事務委任契約ではたくさんのことを第三者に委任できますが、万能なわけではありません。死後事務委任契約では実現しきれない「弱点」と呼べる部分もあります。

ここからは、死後事務委任契約の弱点と、弱点を補うための対策について解説します。

弱点その1:遺産相続まで決められない

死後事務委任契約では、受任者が遺産相続について決定することはできません。遺産を引き継いでほしい人がいる場合や寄付を検討している場合は、遺言書を作成する必要があります。

まずは自分の財産の把握からスタートしましょう。所有する財産などをすべて把握したら財産目録を作成し、遺言書を作成します。遺言書は何度でも作成しなおすことができるので、作成後に心変わりがあっても問題ありません。

なお、法定相続人がいない場合、故人の財産は原則的に国庫に帰属されます。

「財産を慈善団体へ寄付したい」「お世話になった人に残したい」といった希望があるなら遺言書を作成して遺贈先と、遺言内容を実現する「遺言執行者」を指定しておきます。

法律上の要件を満たさない遺言書は法律的には無効になります。遺言書の作成で不安なら、行政書士や司法書士への相談が適当でしょう。

弱点その2:生前の介護までは契約に含まれない

死後事務委任契約では、生前の介護を委任することはできません。認知症などによる判断能力の低下に備えておきたい場合には、死後事務委任契約ではなく「任意後見制度」を利用します。

任意後見制度は「任意後見人」を立て、将来判断能力が低下した時に備える制度です。任意後見人には二つの役割があります。一つは判断能力が低下した本人の代わりに財産を管理すること(財産管理)です。

もう一つは、本人の生活や健康維持のために医療や介護などのサービスが受けられるように手配すること(身上監護)です。判断能力が低下する前に任意後見制度を利用して医療や介護に関する希望を任意後見人に伝えておきましょう。

なお、任意後見人は、親族ではなく友人や知人でも問題ありませんが、司法書士などの専門家に依頼することもできます。

任意後見制度について詳しくは以下の記事をご覧ください。

弱点その3:死後事務を委任した人が身元保証人になってくれるわけではない

死後事務委任契約の受任者は、身元保証人になれません。

身元保証人が必要になるタイミング(施設への入所時や病院への入院時など)に備えて、死後事務委任契約の締結と並行して、元気なうちから身元保証人を探すことをおすすめします。

身元保証人がいないと、最悪の場合、施設や病院に入所・入院を断られる可能性があるため注意が必要です。

おひとりさまで身元保証人のあてがない人は、民間事業者が提供する身元保証サービスの利用を検討してはいかがでしょうか。身元保証サービスを利用する際は、数社を比較のうえ、最も信頼できると思える業者を選びましょう。

弱点その4:葬儀費用はあくまでも自分持ち

死後事務委任契約を締結した場合であっても、葬儀費用といった各種手続きにかかる実費はあくまで自己負担です。葬儀費用を工面できるかどうかが不安な人は、葬儀保険や互助会の活用をおすすめします。

また、おひとりさまの場合は、葬儀や墓をどうするのかについて可能な範囲で決めておきましょう。特にお墓については、霊園が合祀で遺骨を供養する「永代供養墓」を選べばお墓の承継人や墓地管理費は不要です。

なお、葬儀に関する費用を生前に前払いする方法もあります。前払いの方法や条件は葬儀社ごとに異なるため、確認が必要です。

死後事務委任契約がきちんと執行されるために

最後に、死後事務委任契約を確実に執行させるために気を付けておきたいポイントについて解説します。

信頼できる専門家や業者と死後事務委任契約を結ぶ

おひとりさまの死後に生じやすいトラブルの予防策として、死後事務委任契約が効果的だというのは先述したとおりです。

死後事務委任契約を結んでおくことで、多種多様な死後事務の手続きを受任者に任せておけるので、死後に対する不安を大幅に軽減できます。

しかし、民間事業者の提供する死後事務委任契約のサービスを利用する場合、慎重に事業者選びをしなければ思わぬ落とし穴にはまる危険性があります。

業者に費用を横領される、死後事務委任契約の契約内容を履行してもらえないなどのリスクを避けるためにも、信頼できる専門家や業者と死後事務委任契約を結びましょう。

公証役場で公正証書を作成する

死後事務委任契約を締結する場合、契約書を公正証書で作成することをおすすめします。

公正証書を作成するメリットとしては、法的に間違いのない内容の契約書を作成できる点、契約に関するトラブルが発生したときに契約書が裁判上で強い証拠力を持つ点、公証役場で保管されるおかけで改ざんや破棄をされる心配が不要な点などが挙げられます。

高度な法律知識を有する公務員である「公証人」が契約内容を確認してくれるので、法令に違反する内容の契約書をうっかり作成してしまうこともありません。

死後事務委任契約のサービスを利用する場合は、契約書を公正証書で作成してくれる業者を選ぶのが安全です。

執行費用を受任者に預けておく

死後事務委任契約の受任者が亡くなった方の口座から現金を引き出すことはほぼ不可能です。受任者が死後事務をスムーズに進められるように、死後事務委任契約の執行に必要な費用をあらかじめ受任者に預けておきましょう。

一般的には、契約締結時の見積額を執行費用として預けます。ただし、受任者が預かった執行費用を流用するリスクはゼロではありません。

受任者に費用を流用されるリスクに備えたい場合は、費用を自社管理ではなく信託口座に預ける方式で管理している事業者を選びましょう。

死後事務委任契約なら全国シルバーライフ保証協会にご相談ください

死後に必要な手続きは多種多様です。予想以上の手続きの多さや複雑さを負担に感じる人は少なくありません。

高齢の兄弟や配偶者などに負担がかからないようにしておきたい人や、死後事務手続きを誰に依頼すべきか悩んでいる独り暮らしの人には、死後事務委任契約のサービスの利用をおすすめします。

一般社団法人全国シルバーライフ保証協会が提供するサービス「カナエル」なら、オーダーメイドで死後事務委任契約を締結できるので、自分に必要なサポートを必要な範囲で受けることが可能です。

予算に合わせてサービス内容を組み替えられるのも、オーダーメイドならではの大きな魅力ではないでしょうか。

また、全国シルバーライフ保証協会は、死後事務委任契約にあたってお客様から執行費用としてお預かりしたお金を預託金として信託会社へ預けて管理しているので、より一層安心して任せていただけます。

終活や死後事務手続きにお悩みの方は、お気軽に全国シルバーライフ保証協会にお問い合わせください。専門知識と軽減が豊富なスタッフが、丁寧に対応させていただきます。

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この記事の担当者

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

法律事務所勤務を経て、2015年ベストファーム入社、相続・遺言の面談を担当し、現在は、東京シルバーライフ協会の身元引受契約者の生前・死後の委任契約と任意後見契約公正証書、遺言公正証書の作成支援を担当。

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