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高齢者が一人暮らしをするための賃貸物件探しのポイント!一人暮らしのリスクも解説

暮らし

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一人暮らしの高齢者には、病気・ケガ、孤独死などのリスクがあります。

高齢者が一人暮らしを続けるためには自治体による支援を受けるなど、いくつか抑えておくべきポイントがあります。

また別の賃貸物件への住み替えが必要になった場合、大家も高齢者には賃貸物件を貸したがらないのが実情です。

その点を踏まえて物件を探しましょう。

一人暮らしの高齢者(シニア)の人口や割合は増加している

内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、一人暮らしの高齢者(単身世帯高齢者)は右肩上がりに増加しています。対2015年比で2020年の調査を見てみると、暮らしの高齢者の人口は約671万7,000人(78万9,000人増)です。

高齢者男女それぞれの人口に占める一人暮らしの割合は、男性が15%(1.7%増)、女性が22.1%(1%増)です。さらに、同白書では、一人暮らしの高齢者の人口は2040年までは増加し続けるとの推計値も出されています。

※本記事の「高齢者」は65歳以上の方を指します。

出典:内閣府|令和5年版高齢社会白書※資料:令和2年までは総務省「国勢調査」による人数、令和7年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2018(平成30)年推計)による世帯数

賃貸暮らしの単身高齢者は全国で約213万世帯

一般的に、一人暮らしの高齢者は賃貸物件への入居が難しいとされていますが、賃貸物件で暮らす一人暮らしの高齢者の数は少なくありません。2018年時点における賃貸物件で暮らす一人暮らしの高齢者の数は約213万世帯で、高齢者単身世帯、約638万世帯のうちのおよそ三分の一を占めています。

出典:平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要

高齢者が一人暮らしで抱えるリスク

高齢者の一人暮らしには、たくさんのリスクがあります。

ここからは、高齢者の一人暮らしでどんなリスクが発生するか解説します。

病気・ケガなどのリスク

高齢者はケガや病気のリスクが高まります。たとえば、加齢による筋力の衰えで転倒しやすくなります。また、高齢になると温度に対する感覚が弱くなるので、熱中症のリスクも高くなるでしょう。

一人暮らしの場合、自宅でのケガや病気が原因で動けなくなっても、身近に気づいてくれる人がいません。すぐに治療すれば問題がないケガや病気が入院や最悪の事態の引き金になるリスクがあります。

孤独死するリスク

一人暮らしで誰からも看取られずに亡くなることを、「孤独死」といいます。2018年には、東京都区部では約5,500件もの孤独死が確認されました。そのうちの約3,800件、つまり全体の約7割が高齢者の孤独死でした。高齢者は孤独死してしまうリスクが非常に高いことが統計からわかります。

高齢者は若年層や中年層に比べると、上述の通りケガや病気のリスクが高く、ケガや病気が悪化しても助けを求めることができず、そのまま亡くなってしまう可能性も高まります。このことが高齢者の孤独死が非常に多い原因といえるでしょう。

出典:国土交通省|(参考)死因別統計データ

災害時に対応できないリスク

高齢者の一人暮らしは、災害時のリスクが高いと言われています。たとえば、地震や大雨、洪水などの災害時、一人暮らしで助け合える人が身近にいない高齢者は、避難が遅れて被災してしまう可能性があります。一方、若い家族や親族と同居していれば、避難時の補助が期待できます。

被災しないためには、素早い避難と適切な状況判断が重要です。加齢により運動能力と判断能力が低下した状態になると、被災のリスクが高まります。

犯罪に巻き込まれるリスク

高齢者を狙う犯罪は増加傾向にあります。一人暮らしの高齢者は振り込め詐欺や窃盗、強盗などの犯罪に巻き込まれるリスクが高くなります。実際に東京都狛江市では、高齢者が強盗の被害にあう事件が発生し、世間の耳目を集めました。

齢者は判断能力が衰えていることが多く、しかも肉体的に制圧しやすいことから、犯罪者に狙われることが増えています。

一人暮らしの高齢者のリスクを軽減する支援やサービス

高齢者で一人暮らしをするリスクを考えると、不安になってしまいますよね。ここからは、高齢者の一人暮らしを支援するサービスなどを紹介します。高齢者を支援するサービスは大きく自治体によるものと民間によるものに分けられます。それぞれどのようなものがあるかを知ってリスクに備えておきましょう。

自治体の支援サービス

一人暮らしのリスクに備えるなら、自治体の高齢者支援サービスを頼りましょう。

各自治体では、一人暮らしの高齢者をサポートするための取り組みを独自に実施しています。以下は、自治体による支援やサービスの一例です。

  • 緊急通報システム
  • 外出支援
  • 食事宅配サービス
  • おむつの支給、おむつ代の助成
  • 住宅改修の補助
  • 介護予防教室

 

注意点として、すべての自治体が上記の支援を網羅的に実施しているわけではありません。加えて自治体ごとに提供するサービスは異なります。自治体が提供する高齢者支援サービスの種類を知りたい場合、まずはお住まいの自治体の担当窓口へ問い合わせましょう。

 民間の見守りサービスや緊急時の通報システム

自治体だけでなく民間事業者も、高齢者の見守りサービスや緊急時の通報システムなどを提供しています。民間事業者によるサービスの例は以下の通りです。

  • センサー型見守りサービス:人の動きを感知して安否確認を行う
  • 電話やメールでの見守りサービス:自動でくる電話やメールに高齢者が回答して安否確認を行う
  • 宅配型の見守りサービス:食材や郵便などを届けた際に安否確認を行う
  • 緊急通報サービス:自宅に設置したボタンを押すと相談窓口への連絡や警備員への通報などができる

 

自分のライフスタイルに合ったサービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

賃貸物件はいつまで借りられる?

高齢であることを理由に、普通借家契約を解除される心配はありません。なぜなら建物の賃借人は「借地借家法」という法律で強く保護されているためです。通常、大家側が賃借人に立ち退いてもらうためには、老朽化による建物の倒壊の危険性といった正当な事由が求められます。

最終的に裁判となった場合、正当な事由がないと判断されると大家側が負けることになります。つまり高齢者であることを理由に退去を求めたり、契約の更新を拒否したりすることは正当な事由として認められるものではありません。よって、貸主から年齢を理由として立ち退きを求められても応じる必要はありません。

ただし、家賃の滞納やほかの入居者への迷惑行為などがあれば、賃貸借契約を解除される可能性があります。滞納や迷惑行為などは、貸主が賃貸借契約を解除するために必要な「正当事由」に該当すると判断されやすいからです。

一人暮らしの高齢者はアパートなどの賃貸物件を借りられない?

一人暮らしの高齢者は、新たにアパートやマンションなどの賃貸物件を借りることはできるのでしょうか。結論から言うと、一人暮らしの高齢者でも賃貸物件を借りることは可能です。ただし、賃貸物件の貸主が年齢制限を設けているケースがあるので、物件の選択肢が減ります。

2021年に国土交通省が発表した「新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について」という資料に、賃貸人が高齢者や障がい者、外国人といった住宅確保要配慮者に対して設定する「入居制限」についてのアンケートの結果が掲載されています。

アンケートでは、入居制限の状況について「高齢者のみの世帯は不可」と回答した賃貸人は全体の約11%、入居に対する賃貸人の意識について「高齢者を受け入れることに拒否感を持つ」と回答した賃貸人は全体の約80%であることが明らかになりました。

賃貸人が高齢者への賃貸に拒否感を持つ理由については後述します。

出典:国土交通省|新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について

賃貸物件の家主が一人暮らしの高齢者への物件の貸出に不安を感じる理由

ここからは、賃貸物件の家主が一人暮らしの高齢者への物件の貸出に不安を感じる理由について解説します。

無職で収入が少なく家賃の支払いに不安を感じる

多くの貸主は一人暮らしの高齢者の収入面を不安視します。収入を年金のみに頼る高齢者の数は多く、「令和5年版高齢社会白書」によると、所得が年金・恩給のみの高齢者世帯は全体の約25%です。

貸主の立場からすると、所得の少ない方が借主になると、家賃を滞納されるリスクが高まります。そのため、入居審査では家賃の支払い能力についてもチェックされます。

所得が年金・恩給のみの一人暮らしの高齢者から賃貸物件の申し込みがあった場合、貸主は入居審査を通常よりも厳しい基準で行うでしょう。収入面を理由に高齢者を避ける貸主は残念ながら少なくありません。

出典:内閣府|令和5年版高齢社会白書 ※資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和3年)(同調査における令和2年1年間の所得)

孤独死に不安を感じる

貸主は、貸した部屋で高齢者が孤独死することも忌諱しています。日本少額短期保険協会が発表した「第7回孤独死現状レポート」によると、孤独死をした人が発見されるまでに要する期間の平均は18日です。季節や状況次第では、遺体の腐敗により室内が激しく損傷し、原状回復に多額の費用が発生するリスクがあります。

また、孤独死が原因で事故物件扱いになれば、新たな入居者が見つからなくなる可能性もあります。

さらに、孤独死をした人が部屋に残した物品(残置物)の扱いも貸主には悩ましい問題です。原則として、貸主は残置物を勝手に処分することはできません。残置物の処理を進めるためには、裁判所に「相続財産管理人」を選任してもらう必要があります。相続財産管理人選任から残置物撤去までには相当な期間を要します。

次の入居者を迎え入れるまで時間がかかるため、貸主にとっては大きなマイナスです。

出典:日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会|第7回孤独死現状レポート

認知症による事故やトラブルに不安を感じる

高齢になると認知症を発症するリスクが高まります。一人暮らしの高齢者の認知症リスクを嫌って部屋を貸したがらない貸主もいます。高齢者が認知症を発症すると判断能力の低下や記憶障害が発生します。認知症になった高齢者が一人暮らしをしていると、大きなトラブルを起こす可能性があります。

危険なトラブルの最たる例が火災です。物忘れが激しくなるとコンロや石油ストーブなどの消し忘れも起こりやすくなるでしょう。それによって火災が発生すると他の住人も巻き込みかねません。そのほかにも近隣住民とのトラブルが発生する可能性もあります。

入居に必要な連帯保証人がいないことがある

一人暮らしの高齢者で、かつ、身内がいないなどの理由から連帯保証人を用意するのが難しい人は、賃貸物件への入居を断られる可能性があります。貸主にとって連帯保証人は、滞納リスクを軽減してくれる重要な存在だからです。

連帯保証人の代わりに家賃保証会社を利用する方法もありますが、物件によっては連帯保証人もつけてくださいとお願いされる場合もあります。

一人暮らしの高齢者が賃貸物件を借りやすくする方法

ここからは、一人暮らしの高齢者が賃貸物件を借りやすくするための方法について解説します。

親族に協力してもらうよう相談する

親族に保証人や緊急連絡先になってもらえると、賃貸物件の審査が通りやすくなる可能性があります。大家が一人暮らしの高齢者への賃貸を敬遠するのは、トラブル時に対応を要請できる相手がいないからです。

大家としては家賃の未回収が発生したり自分の物件で孤独死してしまったりしたときに備えることができるので、保証人や緊急連絡先が付いていると審査を通しやすくなります。

健康面や金銭面に不安がないことをアピールする

一人暮らしの高齢者の健康面や金銭面を不安視して物件の賃貸を敬遠する貸主は少なくありません。貸主が抱く不安を少しでも軽減できるように、健康面や金銭面に問題がないことをしっかりとアピールしましょう。

健康面では、たとえば、健康診断の結果を自主的に提出するといった方法が考えられます。また、金銭面の不安に対しては、金銭的余裕の根拠となる「預金通帳」や「収入証明書」などのコピーを提出すると良いでしょう。

公営の賃貸物件に応募する

民間の賃貸物件ではなく、公営の賃貸物件を選ぶのもおすすめです。公営の賃貸物件とは例えば、自治体が管理している公営住宅のことです。

民間の賃貸物件の場合は大家の個人的な感情や事情で入居の可否が決まってしまいます。一方で公営住宅の場合は、入居の審査は一定の基準に沿って判断されます。

よって、民間の方で入居審査に通らなかった人でも、公営住宅なら入居できるかもしれません。また、公営住宅のなかには高齢者に配慮した構造の物件があるのもメリットです。

ただし、公営住宅は応募倍率の高さから公開抽選で入居者が決められるケースも多いため、申し込めば必ず入居できるわけではないことを念頭に置いておきましょう。

URの老人向け賃貸物件を選ぶ

UR(独立行政法人都市再生機構)が管理する高齢者向けの賃貸物件なら、年齢制限がなかったり、支払い能力を図る基準として本人の収入以外の基準を用意していたりと一人暮らしの高齢者でも比較的容易に入居できます。

URが管理する高齢者向け住宅は全部で5種類です。

  • 「高齢者向け優良賃貸物件」
  • 「健康寿命サポート住宅」
  • 「高齢者向け特別設備改善住宅」
  • 「シルバー住宅」
  • 「URシニア賃貸住宅(ボナージュ)」

 

種類ごとに特色があるので、自分の生活に合ったタイプの物件を選びましょう。

全般的に高齢者に配慮した造りになっているほか、家賃の軽減措置を受けられる物件もあるなど、賃貸物件を探しているなら一考の価値があります。

 家賃債務保証を利用する

「家賃債務保証」を利用することで、一人暮らしの高齢者でも賃貸物件に入居しやすくなります。

家賃債務保証とは、一般財団法人高齢者住宅財団が運営するサービスです。賃貸住宅に入居する際の家賃債務を保証し、連帯保証人の役割を担うことで、家主が家賃の不払いに関する不安が減り、賃貸物件を借りやすくなります。高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者はこのサービスを利用できます。

家賃債務保証の対象となる債務としては、滞納家賃や退去時の原状回復費用、訴訟費用の支払い債務などが挙げられます。

一人暮らしの高齢者が生活しやすい賃貸物件の特徴

賃貸物件を選ぶ際は、一人暮らしの高齢者が生活しやすい物件を選びましょう。

一人暮らしの高齢者におすすめできる物件の特徴は次のとおりです。

  • バリアフリーになっている
  • 家事がしやすい生活動線になっている
  • 病院や市役所、スーパーなどが近隣にある
  • 見守りサービスや生活支援が導入されている
  • 親族や知人、友人が近くに住んでいる など

 

上記の特徴をすべて備えた物件を見つけるのは難しいかもしれませんが、できるだけ多くの特徴を備えた物件を選ぶことをおすすめします。

まとめ 一人暮らしの高齢者も工夫をすれば賃貸を借りられる

一人暮らしの高齢者は、賃貸物件を借りるのが難しい場合もありますが、不可能ではありません。金銭面や健康面について貸主が抱く不安を解消することで、一人暮らしの高齢者でも賃貸物件に入居しやすくなります。また、公営住宅やURの高齢者向け住宅への入居もおすすめです。

ただし、たとえ賃貸物件に入居できたとしても、いずれは一人暮らしにも限界が来ます。孤独死を避けるためにも、体調悪化や認知機能の衰えを感じたら、早めに老人ホームなどの施設への入所を検討しましょう。

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この記事の担当者

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

法律事務所勤務を経て、2015年ベストファーム入社、相続・遺言の面談を担当し、現在は、東京シルバーライフ協会の身元引受契約者の生前・死後の委任契約と任意後見契約公正証書、遺言公正証書の作成支援を担当。

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