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一人暮らしの高齢者はマンションを購入できるのか?老後の住まいを確保する方法

暮らし

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一人暮らしの高齢者がマンションを購入することはできるのか?というのは多くの人にとって一度は頭をよぎったことのある疑問でしょう。

高齢化社会といわれて久しい日本においては、終の棲家となるマンション購入を検討している一人暮らし高齢者の数も増加していると推測できるからです。

結論としては、一人暮らしの高齢者であってもマンション購入は不可能ではありません。ただし、一人暮らしの高齢者がマンションを購入するためには、前提として一定の工夫が必要です。

この記事では、終の棲家としてマンション購入を検討している50~70代の人ために、住宅購入資金の準備方法や一人暮らし用のマンション購入に備えて知っておきたい予備知識・注意点について解説します。

工夫が必要?一人暮らし高齢者のマンション購入!その理由は

一人暮らしの高齢者がマンション購入に工夫が必要な理由を順番に解説します。

60歳を過ぎると住宅ローンの利用が難しくなるから

一人暮らしの高齢者がマンションを購入するためには工夫が必要とされる理由の一つに、住宅ローンの問題があります。

一般的に、60代以降の人が住宅ローンを組むのは簡単ではありません。

金融機関のなかには申込時の年齢制限を設けているところもあります。

60歳以下、70歳以下など、具体的な制限は金融機関ごとに異なりますが、まったく年齢制限を設けていない金融機関は存在しないと言っても過言ではないでしょう。

特に、原則的な完済年齢とされる80歳以降に住宅ローンを組むことは現状ほぼ不可能です。

また、60歳は一般的には退職年齢でもあります。

住宅ローンの審査では、申込者が定職に就いているかどうか(定期的かつ安定的な収入があるかどうか)も重要視されるため、60歳で定年退職して再就職していないような場合はなおさら審査の通過は難しくなると考えておきましょう。

収入の安定性以外にも、病気の有無などもローン審査に影響します。

仮に60歳以降で住宅ローンを借りることができたとしても、金額が少なかったり、返済期間の短さゆえに毎月の返済負担が重かったり、といったことがあります。

70歳以降は現金や子どもの協力が必要になるから

70代になると、住宅ローンの選択肢はさらに限られます。基本的に、70代以降で利用できる住宅ローンは親子リレー返済形式の商品です。

親子リレー返済形式の住宅ローンは一般的に親子リレーローンと呼ばれています。

親子リレーローンとは、簡単に言うと、親子2世代で一本のローンを返済する仕組みの住宅ローンです。

名前どおり、親子のどちらか一方が最初の債務者となり返済を開始して、返済ができなくなればもう一方が返済を引き継ぎます。

親が最初の返済者となり、子が返済を引き継ぐ形式をとるケースが一般的です。親子リレーローンでは否が応でも子世帯の協力が必要になります。

子世帯の協力を得られそうにない場合は、代替策として相当額の現金を頭金として用意する必要がありますが、そもそも住宅ローンを検討している方にとっては現実的な選択肢とは言い難いでしょう。

老後の一人暮らし用の住宅購入資金を準備する方法とは?

一人暮らしの高齢者が住宅ローンを利用することの難易度については上述のとおりです。

住宅ローンを頼れない場合、住宅資金を貯めるしかありません。ここからは、住宅購入資金を貯める方法について、シミュレーションをまじえながら解説します。

なお、これから紹介する方法の間に明確な優劣はありません。

自分の状況に照らし合わせて常に中立的な目線で各方法のメリット・デメリットを見極め、効果的に組み合わせてバランスの良い貯蓄計画を立てましょう。

コツコツ貯金する

継続は力なり、という言葉は貯金の本質を言い当てています。

一朝一夕に大金を得ることが難しい以上は、中長期的な目線で計画を立ててコツコツと貯金を積み上げていくことが、遠回りでも堅実な方法です。

資産運用にはつきものの元本割れリスクとも無縁なので、安定的な資金の積み上げを求める人にはおすすめの方法と言えます。

ただし、現金預金ならではのリスクを無視するわけにはいきません。現金預金のリスクとしては、たとえば、インフレリスクが挙げられます。

インフレになると相対的に保有する日本円の価値が低下するため、現金のみでの資産形成には不安が残ります。また、銀行預金の低金利も現金預金のデメリットの一つです。

コツコツと住宅資金を貯め続ける計画を立てるのであれば、財形住宅貯蓄や定期預金などの活用を検討すると良いでしょう。

財形住宅貯蓄とは、毎月の給与から一定額を天引きする形式で住宅資金を貯めていく方法です。

財形住宅貯蓄で毎月5万円を20年間、年0.1%の複利で積み立て続けた場合、20年後の積立金額は約1210万円となります。

また、財形住宅貯蓄には、550万円までは利息などに税金がかからないというメリットがあるので、通常の低金利預金よりは効率的な資産形成が望めるでしょう。

財形住宅貯蓄を利用できるかどうかは、会社が財形住宅貯蓄に対応しているかどうかによって決まります。まずは会社の対応状況を確認しましょう。

iDeCoやNISAなどで運用する

一般的な現金預金には投資性がないため、運用益による資産形成効果を期待できません。

運用益による効率的な資産形成を目指すならば、iDeCoやNISAなどの活用を検討しても良いでしょう。

たとえば、毎月5万円を年利3%の複利で積み立て運用(複利毎課税)できた場合、形成できる資産は約1,500万円に上ります。

毎月5万円を20年間現金で貯金した場合の資産が1,200万円に留まることと比較すれば、運用益の重要度は一目瞭然です。

また、iDeCoやNISAなどの投資制度を活用することで、資産の分散によるインフレリスク軽減、税金面の優遇といったメリットも得ることができます。

とはいえ、これらの制度にデメリットがないわけではありません。投資である以上は運用リスクを伴いますし、iDeCoであれば60歳までは引き出せないといった制限があります。

退職金などを住宅購入資金にあてる

退職金制度のある会社に勤めていた人であれば、退職金を住宅購入資金にあてるのも一手です。

勤続年数などにも左右されますが、退職金としてまとまった金額を受け取れるのであれば住宅購入計画においてこれほど心強いことはないでしょう。

ただし、退職金だけを頼りに老後の住宅購入資金計画を練るのはおすすめできません。なぜなら、受け取れる退職金の額は在籍期間や会社の業績次第で変わるものだからです。

また、退職金を住宅購入資金にするのであれば、老後の生活費のうち年金で賄えない不足分については別で準備しておく必要があります。

住み替えの場合は自宅の売却やリバースモーゲージを検討する

老後の住み替え先として分譲マンションを検討するのであれば、自宅の売却やリバースモーゲージも資金調達方法の選択肢に上ります。

リバースモーゲージとは、金融機関が扱うローンの一種です。

住宅を担保として資金を借り入れる点は通常の住宅ローンと同じですが、毎月の支払いが利息分のみである点と、契約者死亡により一括返済が求められる点はリバースモーゲージならではの特徴だと言えます。

契約者の死亡後に現金一括返済がされない場合、金融機関は契約者の自宅を売却手続きにかけて、売却代金から返済を受けることになります。

月々の支払いを低額に抑えたい人や、自らの死後に住宅が売却されたとしても不都合が少ない人にとっては、リバースモーゲージは有用な選択肢です。

老後の一人暮らし用のマンションを購入したい人が知っておくべき予備知識と注意点は?

ここからは、50~70代で終の棲家となるマンションの購入を検討している人が知っておくべき住宅購入の知識と注意点について解説します。

賃貸と持ち家それぞれのメリット・デメリットを理解しておこう

終の棲家という言葉からは、一般的に、賃貸よりも持ち家がイメージされるものです。

ただし、終の棲家の準備として持ち家を購入するのが万人にとってベストな選択肢であるとは言えません。

持ち家には持ち家の、賃貸には賃貸のメリット・デメリットがあるからです。

メリット・デメリットを比較して初めて、持ち家と賃貸どちらを選ぶべきかという疑問に終止符を打つことができます。

終の棲家の準備をするのであれば、まずはそれぞれのメリット・デメリットを理解するところから始めましょう。以下で、賃貸と持ち家のメリットについて解説します。

賃貸のメリット・デメリットとは

賃貸のメリットは複数ありますが、なかでも最大のメリットは、多額の資金を準備する必要がない点でしょう

賃貸であっても、初期費用(仲介手数料・前家賃・敷金・礼金)としてまとまった金額を最初に支払わなければならないケースは多いですが、住宅購入にかかるような何百万・何千万といった資金を用意する必要はありません。

また、ライフスタイルなどに応じて住み替えをしやすい点も、賃貸の大きなメリットの一つです。

賃貸のデメリットとしては、たとえば、高齢になるほど借りられる物件が限られてくる点が挙げられます。

単身で身寄りのない高齢者にとっては、賃貸物件を借りることの難易度はなおさら高いと言わざるを得ません。

また、持ち家とは違って家賃を半永久的に支払い続けなければならない点も、賃貸のデメリットとして留意しておくべきでしょう。

高齢者が一人暮らしをするための賃貸物件探しのポイント!一人暮らしのリスクも解説

持ち家のメリット・デメリットとは?

持ち家を購入することで、安定した住環境を得ることができます。賃貸住宅は、あくまで貸主と借主との契約を前提として提供される住環境です。

そのため、契約内容や契約の事後的な取扱い次第では、賃貸住宅に住み続けることができなくなる可能性があります。

その点、持ち家なら一度購入してしまえば、住宅ローンの滞納といった特殊事情がない限りは安定的に済み続けることが可能です。

持ち家のデメリットは、賃貸住宅とは違って、各種維持費の負担が重いという点でしょう。

不動産の所有者に課せられる固定資産税や、マンションの管理費、修繕積立金などを甘く見てはいけません。

特に、マンションの管理費と修繕積立金については、マンションによっては毎月3万円以上を負担しなければならない物件もあります。

毎月の住宅ローンの支払いに加えて修繕積立金と管理費などの維持費を支払ったうえで、なお生活していけるだけの金銭的な余裕を保てるかどうかを購入前に確認しなければなりません。

短期間で住宅ローンを完済するための資金の準備と返済計画と立てておこう

50代で住宅ローンを組む場合に考慮しておきたいのが、短期間での完済計画です。

50代なら一般的な住宅ローンを利用できるケースが多いとはいえ、完済年齢から逆算すれば借入期間は比較的短いものになります。

同じ借入額でも借入期間が短いほど毎月の返済額は高くなるものです。借入期間が短くても問題なくローンを支払っていけるような資金計画を立てておきましょう。

また、50代で住宅ローンを組む場合、金融機関から頭金を多めに用意するよう求められる可能性があります。

準備できる頭金の額次第で選択肢となる住宅ローンの種類や条件が違ってくるため、50代で住宅ローンを組むことを検討しているなら、頭金の準備を視野に入れたうえで資金計画を練るようにしましょう。

戸建て住宅やアパート、介護施設との比較検討をしておこう

終の棲家となるマンションの購入を目指す前に、ほかの選択肢との比較検討をしておきましょう。マンション以外の選択肢としては、アパート、戸建て住宅、介護施設などが挙げられます。

下記の表で、老後の住まいごとのメリットとデメリットの一例を確認してください。

メリット デメリット
分譲マンション 老後の暮らしを支えるオプション(設備)が豊富である。たとえば、足腰が弱くなっても生活しやすい「全棟バリアフリー」、身体機能の維持に役立つ「フィットネス施設併設」、高齢者を狙う犯罪から身を守る「セキュリティカメラ・オートロック付き」など

・建物の維持管理は管理会社に任せられるので、老後、住まいの管理のために労力をかけずに済む

・死後、家族(相続人)に資産を遺せる

・初期費用の負担が大きく(高齢になってからだと住宅ローンの活用も難しい)、老後資金に回せる金額が減る

・マンション管理組合の理事が輪番制で決まり、理事に選ばれると、例え高齢であっても理事の仕事が発生する

・住み替え時に売却が必要になり、老後に生活状況や健康状態が変わった際に住み替えがしづらい(ただし戸建てよりは住み替えが容易)

アパート ・初期費用が安く、老後資金に回せる金額が増える

・もし老後に生活状況や健康状態が変わった際に住み替えがしやすい

建物の維持管理は管理会社に任せられるので、老後、住まいの管理に労力をかけずに済む

高齢で収入が少ないことなどを理由に立ち退きを求められることがある。その後賃貸に住み替える場合、高齢だと入居審査に通りにくいため次の入居先を探すのが難しい

・分譲マンションや戸建て住宅とは異なり、死後に家族(相続人)に資産を遺すことはできない

・エレベーターがない物件の場合、2階以上の部屋を選ぶと階段の上り下りが負担になる可能性がある

戸建て住宅 ・自由度が高い。土地の一部を家庭菜園にして老後の趣味を楽しんだり、間取りを変えて趣味の部屋を作ったり、必要ならバリアフリー化したりできる

・死後、家族(相続人)に資産を遺せる

・老後に立ち退きを求められる心配はない(住み替えの必要がない)

・初期費用の負担が大きく(高齢になってからだと住宅ローンの活用も難しい)、老後資金に回せる金額が減る

・住み替え時に売却が必要になり、老後に生活状況や健康状態が変わった際に住み替えがしづらい(分譲マンションよりも手放しにくい)

・自由度が高い半面、建物の維持管理はすべて自分で行わなくてはならず、老後、住まいの管理に労力がかかる

介護施設 ・介護職員による生活上のケアを受けられる

・孤独死の心配がない

・医療従事者が常駐する施設であれば健康不安を解消しやすい

・民間の介護施設の場合、費用が高額になりやすい

・要介護度や要支援度といった条件を満たさなければ入居できないケースがある

・公的施設は費用が低額な反面、入居者の順番待ちが発生しているケースがある

マンションや戸建て住宅は家族(相続人)に財産を遺せるメリットもあります。

マンションでも戸建て住宅でも、一度購入してしまうと住み替えは容易ではありません。

居住してから後悔しないように、事前にマンション・戸建て住宅・介護施設のメリット・デメリットを比較して自分の生活に最適と思える選択肢を選びましょう。

高齢者におすすめのマンションの種類は?

高齢者のマンション選びの選択肢としては、一般向け分譲マンションとシニア向け分譲マンションがあります。

ここからは、それぞれの種類の特徴とメリット・デメリットを順番に紹介します。

一般向け分譲マンション

一般向け分譲マンションは幅広い年代の入居者に向けて売り出されています。

幅広い年代の世帯に生活しやすい住環境が備わっている点は、一般向け分譲マンションの大きなメリットの一つです。

ただ、高齢者の生活上のニーズに着目するならば、一般向け分譲マンションの構造やシステムでは今一つ物足りない可能性が高いと言えます。

若年層・中年層・高齢者といった世代ごとに生活上のニーズは異なるものですが、一般向け分譲マンションは特定の層だけのニーズを満たすような構造や管理システムをとっていないからです。

たとえば、高齢者の代表的な生活上のニーズとしてバリアフリー構造が挙げられますが、バリアフリーを全室に備えた一般向け分譲マンションの数は決して多くはないでしょう。

高齢者が高齢者世代特有の生活ニーズを満たしたい場合は、一般向け分譲マンションではなく、世代の生活ニーズに特化したタイプのマンション選びに舵を切る必要があるということです。

シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションは、高齢者の生活上のニーズを満たすことに特化したマンションです。特徴及びメリットの一例として、下記の点が挙げられます。

  • 基本的にバリアフリー構造であること
  • 24時間対応の管理者が常駐しているところが多いこと
  • 入居者用のフィットネスジムや温泉、カラオケといった娯楽施設を備えていること
  • 買い物代行サービス

 

サービス内容はマンションによって異なるため、すべてのシニア向け分譲マンションが上記のメリットを備えているわけではありません。

また、一般的にはメリットの多い物件ほど物件価格が高額であるため、予算に照らし合わせてメリットの取捨選択を行ってから、購入候補となるシニア向け分譲マンション同士を比較検討しましょう。

まとめ 高齢になってからのマンション購入は慎重に考えよう

高齢になってからのマンション購入は、不可能ではありません。ただし、一定以上の年齢になると住宅ローンの借入が難しくなるといったハードルがあることは事実です。

住宅ローンが利用できない可能性を理解したうえで、住宅ローンに頼らずにマンションの購入資金を準備する方法を考えましょう。

具体的には、iDeCoやNISAによる資金運用、退職金、既存住宅の活用といった方法が挙げられます。

そもそも、本当にマンションを購入する必要があるか考えるべきかもしれません。マンション購入によって老後の生活費が不足する場合もあるためです。

マンション購入にお金を費やすよりも、賃貸に住んだり今の家に住み続けたりしたほうが、結果的に余裕のある生活ができる場合もあります。

メリット・デメリットを比較して終の棲家を選びましょう。

高齢者の一人暮らしには、住居の確保以外にも様々な不安がつきものです。不安を解消するためには「備え」が重要となります。

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吉野真浩AFP|ベストファーム株式会社

吉野真浩AFP|ベストファーム株式会社

早稲田大学卒業。税理士法人勤務を経て、ベストファーム入社。AFPなどの資格を活かし、現在はベストファーム東京本店でマーケティングを担当。

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