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特別養護老人ホーム(特養)とは?費用・サービス内容・その他施設との違いを解説

介護・ケア

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特養(特別養護老人ホーム)とは、自宅で日常生活を送るのが困難かつ常時介護を要する高齢者のための施設です。厳密には、「要介護高齢者のための生活施設。 入浴、排泄、食事などの介護その他日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う。定員が29名以下のものは、地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)と呼ばれる。」と定義されています。親族を特養に入所させたいと考えている方は、特養の特徴やその他施設との違いを理解しておくことが大切です。この記事では、特養の入所条件やサービス内容、費用相場、介護老人保健施設や介護付き有料老人ホームとの違いについて詳しく解説しています。

(根拠法:介護保険法第8条第22項、第27項、老人福祉法第20条の5)

特別養護老人ホーム(特養)とは?

特別養護老人ホーム(特養)とは、要介護認定を受けた高齢者が生活するための介護保険施設です。地方公共団体や社会福祉法人が主体として公的に運営され、比較的安価に利用することができます。在宅生活が困難な高齢者のためのさまざまな介護サービスが、都道府県ごとに定められた基準に則って提供されます。たとえば、以下のようなサービスです。

  • 入浴介助
  • 排泄介助
  • 食事の提供・介助
  • 生活支援(掃除・洗濯など)
  • リハビリ
  • レクリエーション
  • 医療ケア・看取り

特養は、法令により設置基準が定められており、下記の専門職員の配置が人員基準として定められています。

  • 医師
  • 看護職員 
  • 介護職員
  • 生活相談員
  • 栄養士
  • 機能訓練指導員
  • 介護支援専門員

特養の入所条件(介護度など)

特養は在宅での生活が難しい方のための施設で、民間運営の有料老人ホームに比べると、利用しやすい価格となっていますが、要介護3以上の方しか入居できないなど、入居条件が厳しめに設定されています。特養には三つの種類があり、それぞれで個別の入居条件があります。一旦、ここでは、種類を問わずに特養全般に共通する条件を紹介します(各種類ごとの細かい条件は後述します)。

特養の入所条件(共通)

・年齢・要介護度における条件:原則65歳以上かつ要介護度3以上。ただし、特定疾病があり、かつ要介護3以上の方であれば40~64歳でも入所可能。

・例外的に入所できる条件:要介護1・2でも「やむを得ない事情」があると認められる場合は入所できるケースがある。たとえば、認知症・知的障害・精神障害・単身世帯など。

・入所が難しいケース:常時の医療ケアが必要な場合や、感染症に罹患している場合などは入所を認められない可能性がある。

特養に身元保証人は必要?

特養に入所する際は身元保証人を求められることが多いです。身元保証人の主な役割は、施設側では対処できないこと(入院の手続き・延滞費用の支払い・亡くなった際の身柄の引受けなど)が発生した際の対応です。厚生労働省のガイドラインによると、身元保証人を用意できないことだけを理由として施設が入所を拒否することは認められていません。しかし、施設側としても無条件で入所希望者を受け入れることはリスクになるため、身元保証人がいないことに難色を示されることも少なからずあります。もしどうしても身元保証人がみつからない場合は、民間の身元保証サービスを利用することも選択肢の一つです。

特養の種類(広域型・地域密着型・地域サポート型)

前述した通り、特養には種類があります。次の三種類に大別されます。

  • 広域型
  • 地域密着型(サテライト型・単独型)
  • 地域サポート型

特徴・入所条件・定員・サービス内容の比較表を作成しました。

広域型 地域密着型(サテライト型・単独型) 地域サポート型
特徴 最も一般的な施設で、居住エリアに制限がなく入居しやすい ・サテライト型

本体施設(広域型施設)の近郊で運営される小規模施設。

・単独型

本体施設を持たない単独施設

在宅介護を受けている高齢者などに向けたサービスを提供する施設
入所条件

(共通する入所条件を除く)

居住エリアによる制限なし 居住エリア制限あり(施設所在地の市区町村に住民票のある高齢者が対象) 在宅介護を受けている高齢者
定員 30人以上 29人以下
サービス内容 生活介助(入浴・食事・排泄)

レクリエーション提供

機能訓練

24時間の見守りサービス

地域密着型の施設は、施設がある地域と同じところに入居希望者の住民票がないと入居できません。誰でも入居できるわけではない点にご注意ください。

特養のサービス内容とは?

ここからは、特養で受けられるサービスの内容について具体的に解説していきます。

入浴介助

特養では入浴介助サービスを受けることができます。「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」で入浴のペースは週に2回以上と定められているので、すべての特養で最低でも週に2回以上は入浴介助を受けることが可能です。身体が不自由な入所者に対しては、寝たままの姿勢で入浴できる設備(機械浴槽)が用意されていますが、設備の利用が難しい場合は清拭(身体を拭いて清める)を受けることもできます。

出典:厚生労働省|特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準

排泄介助

特養では、排泄介助も受けることができます。入所者の身体状態が考慮されたそれぞれに適した排泄介助が行われるのが一般的です。以下で、排泄介助のサービス例を挙げます。

  • 定時介助(1日に5~6回)
  • 排泄リズムに応じた個別介助
  • 夜間はおむつ・日中はパッド利用での介助
  • 同姓介助の配慮

食事の提供・介助

特養の入所者は、栄養士が考えた栄養バランスの良い食事をとることができます。食事に関するサービスが充実している特養なら、入所者それぞれの健康状態や食の好みを反映した食事が提供されるでしょう。また、旬の食材を使った献立や、クリスマスといった季節ごとのイベントを楽しめるような行事食を提供する施設もあります。食事の介助サービスを受けることも可能です。ただし、可能な範囲で自立を促すことも特養の運営趣旨の一つであることから、基本的には離床して食事をとることになります。

生活支援(掃除・洗濯など)

特養では、掃除・洗濯などの生活支援サービスを受けることもできます。具体的なサービス内容は施設ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。洗濯で言うと、入所者が自分で洗濯できる施設もあれば、職員が洗濯する施設、外部の業者へ一部ないし全部を委託している施設もあります。掃除についても同様で施設ごとにサービス内容は異なりますが、基本的な清掃については職員が定期的に行う施設が多いでしょう。

リハビリ

特養では、生活機能の再建を目指すためのリハビリテーションを受けることもできます。ここでいうリハビリとは、単に身体機能を再建するだけでなく、入所者が日常生活や社会的な交流ができるようになるための各種取り組みのことです。より具体的に言うと、入所者が食事・排泄・移動などの生活行為を可能な限り自立して行うための工夫やサポート(生活リズムの確立・こまめな声かけ・歩行器や車椅子による移動の援助など)が主な内容です。直接的な機能回復訓練だけがリハビリとして行われるわけではありません。

レクリエーション

特養では、一般的に、入所者同士の交流を図るためのレクリエーションが定期的に開催されます。レクリエーションの内容は施設ごとにさまざまで、簡単なゲームをしたり、絵を描いたり、クリスマスパーティーをしたりと、それぞれ入所者を楽しませるために工夫されています。

健康管理・看取り

特養には医師や看護師の配置が義務付けられており、定期的な診察や処方箋の発行など、専門家による健康管理が受けられます。より具体的な医療ケアの提供については、施設により異なるため一概にはいえません。特養はあくまでも介護サービスを提供する生活の場であり、医療行為が行われる所ではない、というのが一般的な認識です。また、特養の多くは看取りにも対応しています。看取りが可能かどうかについても、入所前に施設へ確認しておくのが安心です。

特養の居室タイプ

ここからは、特養の各居室タイプ(多床室・従来型個室・ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)の特徴などについて解説していきます。

多床室

多床室は、2~4人で使用するタイプの居室です。各人のスペースはカーテンやパーテーションなどで仕切られているため、プライバシー確保の面では難がありますが、費用が安いというメリットがあります。また、多床室の中には、共有スペースを設けたユニット(12人以下で使用するのが一般的)を一単位とするものもあります。

従来型個室

従来型個室の場合、1人につき1部屋が用意されます。壁・ドアで区切られた完全な個室に入居できるため、プライバシー確保が容易です。その反面、共有スペースまでの距離が遠い設計の施設だと、入所者同士のコミュニケーションが生まれにくいという難点もあります。

ユニット型個室

ユニット型個室とは、10人以下を一つのユニットとして、各人が個室に居住しながらリビングなどの生活スペースを共用するタイプの居室です。ユニット型個室の場合、リビングなどの生活空間をユニットの全員で共有することになるため、従来型個室に比べて入所者同士のコミュニケーションが生まれやすいというメリットがあります。

ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室は、ユニット型個室と同様にリビングなどを共有するものの、それぞれの居室がユニット型個室ほど完全には区切られていないタイプの居室を指します。ユニット型個室ほどはプライバシーを確保できませんが、入所者同士のコミュニケーションの取りやすさ・安価さがユニット型個室的多床室のメリットです。

特養の料金相場とは?

特養では、入所一時金は無料であり、月額費用のみを支払います。居室タイプやサービス内容次第で異なりますが、8万~13万円程度が特養の月額費用の相場でしょうか。毎月かかる費用には、次のようなものがあります。

費用項目 概要
居住費 ・国が定めた「基準費用額」に基づき設定されている

・居室タイプにより費用は異なる

食費 ・1日3食分の食費

・3食とらない場合も3食分の支払いが必要

・入院などで施設に戻らない場合は事前に支払いを停止できる

日常生活費 ・医療費や施設でのレクリエーション費用

・嗜好品や理美容日など

※おむつや尿取りパットの費用は施設が負担

施設介護サービス費 ・入所後の介護費用

・要介護度に比例して高額になる

介護サービス加算 ・介護サービスの内容に応じて加算される

・人員が多くサービス内容が手厚いほど加算額は大きい

特養・介護老人保健施設(老健)・介護付き有料老人ホームの違いとは?各施設の特徴やメリット・デメリットを解説

特養・老健・介護付き有料老人ホームの違いは以下の通りです。

特養 老健 介護付き有料老人ホーム
特徴 自宅で日常生活を送るのが困難かつ常時介護を要する高齢者のための施設 退院後の在宅生活が困難な方や、リハビリが必要な方が、在宅復帰を目指す施設 特定施設入居者生活介護の指定を受けている民間の介護施設
入所条件 ・要介護3以上かつ65歳以上の高齢者

・特定疾病があり、かつ要介護3以上の40~64歳

・やむを得ない事情がある要介護1・2の方(認知症・知的障害など)

・症状が安定しており入院治療が必要ない要介護1~5かつ65歳以上の高齢者

・特定疾病があり、かつ要介護3以上の40~64歳

・混合型

自立・要支援・要介護を問わない(65歳以上)

・介護型

要介護認定を受けた人(65歳以上)

費用相場 ・入所一時金無料

・月額8万円~13万円

・入所一時金無料

・月額7万~13万円

・入居一時金は事業者により異なる

・月額数十万円~

居室面積 10.65㎡以上 従来型:8㎡以上

ユニット型:10.65㎡以上

13㎡以上
設置主体 社会福祉法人や地方公共団体など 医療法人や社会福祉法人など 民間企業
サービス 介護サービス

医療サービス

看取り

生活支援

食事提供

リハビリ

レクリエーション

機能訓練

リハビリ

医療サービス

看取り

生活支援

食事提供

レクリエーション

デイサービス併用

介護サービス

医療サービス

看取り

生活支援

健康管理や医療ケア

緊急対応

食事提供

リハビリ

レクリエーション など

特養と老健の違い

特養と老健の最も大きな違いは、施設の目的です。特養は終身利用を前提とした中〜高要介護度の方のための施設です。これに対して、老健は退院後の在宅生活が困難な高齢者・リハビリが必要な高齢者を対象に、在宅復帰を目指す施設です。よって、特養は入所期間が長期にわたり、空きが出にくく、老健は入所期間が原則として短期間(3か月~1年半程度)となり、比較的空きが出やすいという違いがあります。両施設とも、医師・看護師・介護士などが配置されているため、充実した医療・介護サービスを受けることができます。以下は特養と老健を比較したときのそれぞれのメリット・デメリットです。

種類 メリット デメリット
特養 ・老健より費用が安い

・終の棲家として入所できる

・老健よりもレクリエーションに注力されている

・要介護度2以下では原則入所できない

・リハビリ設備や医療ケアは老健よりも充実度が低い傾向にある

・入所申し込みが多く、待機期間が長くなりやすい

老健 ・要介護1から入所できる

・週に2回以上リハビリができる

・待機者が少なく比較的入所しやすい

・長期入所は認められない

・看取りに対応した施設が少ない傾向にある

・医療・看護体制が手厚い分費用は高くなりやすい

特養と介護付有料老人ホームの違い

介護付き有料老人ホームの運営主体は、「特定施設入所者生活介護」という公的な指定を受けた民間企業です。有料老人ホームは民間事業者が運営しているだけに、特養に比べて各種サービスが充実している施設が多く、入所者は24時間常駐の介護スタッフから生活支援・各種介助サービスを受けることができます。また、施設により入所条件は異なりますが、一般的には自立または要支援1〜要介護5まで幅広く受け入れています。メリットの多い介護付き有料老人ホームですが、サービスや人員が充実している分、特養と違って入所一時金がかかる施設が多く、費用が高額になりやすいといったデメリットもあります。特養と介護付き老人ホームそれぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

種類 メリット デメリット
特養 ・入所一時金が無料で月額費用も安い

・施設によるサービス内容の格差が少ない

・原則、要介護3以上からしか入所できない

・すべての特養が個室を備えているとは限らない

・待機期間が長くなりやすい

介護付き有料老人ホーム ・自立した方でも入所できる

・部屋は個室タイプが多い

・レクリエーションが特養より充実している

・入所一時金が必要な施設がある(月額費用も特養より高い傾向にある)

・施設によりサービス内容に差があるため、事前リサーチに時間がかかる

特養は要介護3以上の方が終の棲家として利用できる施設

特養を利用できるのは、原則として要介護3以上、65歳以上の高齢者です。特養には、入所一時金が不要・サービスの充実度が高いといったメリットがある一方、人気が高く順番待ちが発生しやすいといったデメリットもあります。各施設のメリット・デメリットを比較して、目的に合った老人ホームを選びましょう。特養・老健・介護付き有料老人ホームに限らず、老人ホームへの入所を検討するなら、身元保証人の有無を事前に確認しておく必要があります身近に身元保証人をお願いできる人がいない場合は、民間事業者が提供する身元保証サービスを活用するのも選択肢の一つです。全国シルバーライフ保証協会は、司法書士や税理士などの士業法人が運営するベストファームグループの一員です。豊富な経験と知識に基づいて、高齢者が健やかに暮らすためのサポートを提供しています。身元保証人サービスも提供しているので、いつでも気軽にお問い合わせください。

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この記事の担当者

丹野 和希東京シルバーライフ協会理事

丹野 和希東京シルバーライフ協会理事

2017年ベストファームグループ入社。東京シルバーライフ協会スタッフとして契約面談、契約後のお客様サポートを担当。

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