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ホスピスとは、どんな施設?費用や受けられるケアなどを詳しく解説

介護・ケア

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核家族化や少子化、単身の高齢世帯が増加する中、自宅ではなく病院で最期を迎える人が増えています

そのような背景から「看取り介護」の需要が高まり、中でも治癒が望めない人たちを受け入れる「ホスピス」という施設に注目が集まっています

ではホスピスとは、一体どのような施設なのでしょうか?

この記事では、ホスピスの基本的な特徴をはじめ、受けられるケアや費用相場などを詳しく解説していきます。

 

「ホスピス」とは、余命わずかな人が自分らしい最期を迎えるための場所のこと

現代におけるホスピスには、2つの意味があります。

  • (1)末期のがんや難病といった治癒が難しく死期が近い患者に、苦痛症状を緩和するケアを行う施設
  • (2)終末期の患者の苦痛を和らげる治療・ケアを提供するプログラム(ホスピスケアと呼ばれることもあります)

 

つまりホスピスとは、基本的に治癒や延命が目的の場所ではなく、余命わずかな人が自分らしい最期を迎えるための場所やプログラムといえます。ただ、一般的にホスピスは、緩和ケアに特化した病棟「緩和ケア病棟」を持つ病院を指すケースが多いでしょう

なお、近代におけるホスピスの広がりは、「末期がん患者が最期まで穏やかに過ごせるための休憩所」という目的によって、イギリス人医師のシシリー・ソンダースが1967年に開設した施設、「セント・クリストファー・ホスピス」に遡ることができます。

ホスピスケアと緩和ケアの違いは?それぞれの意味を解説

先述したように「ホスピスケア」には、患者から苦痛を取り除く治療・ケアという意味があるため、「緩和ケア」と同意義で使われることがあります

両者の使い分けに明確な線引きはされていませんが、ホスピスケアは「余命わずかな患者が終末期に提供されるもの」であることに対して、緩和ケアは「がんなどの重病を診断された直後の患者に提供されるもの」という違いがあるようです。

また、ホスピスケアに意味が近い言葉に「ターミナルケア(終末期医療)」がありますが、ターミナルケアは「死に至ることを配慮する時期に行われる治療のすべて」なので、治癒を目的とした治療が行われることもあります。

一般的にはホスピスケア、ターミナルケアともに、緩和ケアの一部として使用されるケースが多いでしょう。

なお、「余命わずかな患者の苦痛をできる限り取り除きながら、生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)を向上させるために行う」という意味では、ホスピスケア・緩和ケア・ターミナルケアのすべてに共通しています。

ホスピスにおける3つの基本ケア

ホスピスでは、主に身体的ケア、精神的ケア、社会的ケアという3つの基本ケアが提供されます。それぞれの意味を押さえることで、ホスピスへの理解が深まるでしょう。1つずつ解説していきます。

身体的ケア

身体的ケアとは、患者に対して体の清拭をはじめ、身だしなみを整えたり、衣類の着脱、床ずれの予防、酸素吸入、点滴投与など、痛みやつらさを緩和したりして快適に過ごしてもらうためのケアです。

患者が食事や水分の補給が難しくなった際は、本人や家族の意思を確認したうえで、料理を食べやすいように小さくすりつぶしたり、チューブを通した経管栄養や、胃ろうなどの処置を行ったりすることもあります。

また、場合によっては医師の判断に基づき、苦痛を緩和するために鎮静薬の投与などの医療行為を行うこともあるでしょう。

精神的ケア

精神的ケアとは、患者が安心して死を迎えられるように、不安や恐怖、孤独感などの感情を和らげるケアをいいます。

看護師、家族、ボランティアスタッフなどが患者の気持ちに寄り添い、話をよく聞き、楽しい時間を過ごすことで、心穏やかに過ごしてもらうためのケアです。

精神的ケアを受けることで患者は心の平穏を取り戻し、現実的な判断ができるようになったり、新しい局面に順応できたりする可能性があります。

社会的ケア

社会的ケアとは、主に患者や家族の経済的な負担を緩和するケアです。ホスピスでは、医療ソーシャルワーカーが社会的な問題についてサポートします。

たとえば次のような支援を行っています。

  • 医療費や生活費などの経済的な相談
  • 葬儀や埋葬に関する意向の確認
  • 家族機能の代行(社会生活上の手続き支援)
  • 相続や遺言、財産分与のサポート

 

このような支援によって、患者や家族の社会的な苦痛が軽減されるでしょう。

ホスピスにはどんな施設があるの?

先述したようにホスピスの施設は主に病院内にあり、基本的に医師や看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、ヘルパー、ケアマネジャーなどによって構成された緩和ケアチームが24時間365日対応しています

ホスピスを利用したいのであれば、がん治療のための病棟、もしくは緩和ケア病棟を持つ病院への入院が一般的です。

ただし病院内に専用病棟がない場合は、一般病棟に入院し、緩和ケアチームによって必要なケアが受けられることもあります(通院患者に対応している緩和ケア外来もあり)。

ちなみに小児のためのホスピス施設もあり、英国の「ヘレン&ダグラスハウス」が世界初のこどもホスピスといわれています。

こどもホスピスとは、早期の死を免れることが困難な病気「LTC(Life-threatening condition)」を患うこどもに小児緩和ケアを提供し、その家族とともに、こどもの成長・発達を支える場所です。

こどもホスピスは日本にまだ数箇所しか普及していませんが、徐々にその活動は広がっています。

医師や看護師が常駐している介護施設にもホスピス機能が!

近年は病院以外にも緩和ケアに対応している老人ホームなどの介護施設が増えています。主な施設は以下の通りです。

公的施設 特別養護老人ホーム

軽費老人ホーム(ケアハウス)

民間施設 介護付き有料老人ホーム

住居型有料老人ホーム

グループホーム

サービス付き高齢者向け住宅

シニア向け分譲マンション

常駐するのは看護師のみ」など施設によって体制は異なるものの、緩和ケアなどの医療行為を行いつつ、ホスピスとして機能している施設が増えているようです。

緩和ケア病棟と老人ホームの違いは?

緩和ケア病棟への入院対象は「がん患者であること」や「余命宣告を受けている」「症状が重い人を優先」「症状によっては在宅への切り替えが勧められる」といったケースが多いでしょう。

一方の老人ホームなどの介護施設は「がん患者に限定されない」「空室があれば、症状問わず入居できる」「症状が安定しても入居し続けられる」といったケースが大半です。

緩和ケア病棟はあくまでも病院なので、症状によって入院期間が決まっていたり、退院勧告を受けたりするケースも多い状況でしょう。

住み慣れた環境で治療したいなら「在宅ホスピス」という選択肢も

住み慣れた自宅で終末期を迎えたいというニーズが増えており、最近は「在宅ホスピス」も注目されています。

在宅ホスピスでは、患者の状態に応じて、医師や看護師による定期的な訪問診療・訪問看護を受けながら自宅で余生を過ごすことになります。容体が変化したときには、緊急対応してもらえるという安心感も大きいでしょう。

緩和ケア病棟や介護施設に比べて家族の負担は重くなりますが、緩和ケアチームのケアマネジャーやヘルパーなどが患者を支える家族の支援を行っています。

ホスピスに入院・入居できる人とは?

ホスピスでは「治癒が望めないこと」または「治療しないことを理解していること」が、重要となります。

そのため、ホスピスにいる患者は基本的に患者自身が病気の状態を知っている、または病名の告知を受けています

患者本人が病名や病状を知らないと、「病院をホスピスに変更したのに症状が悪化している」「入院したのに治療してくれない」などと緩和ケアを理解できず、より苦しむことになります。そのため、多くのホスピスでは事前に病名の告知を入院・入居条件に掲げています。

またホスピスへの入院・入居の時期は、病院・施設によって異なります。

たとえば、ある病院の緩和ケア病棟の入院基準は、「原則、余命6カ月以内と診断された患者」です。しかし「手術や抗がん剤の治療よりも、苦痛を緩和するケアを中心に進めたい」といった希望があれば、余命に関係なく受け入れているところもあります。

ホスピスの費用相場は?

ホスピスを利用したい場合に、気になるのが費用ではないでしょうか。特に介護施設への入居では、社会福祉法人や医療法人が運営する「公的施設」、民間の企業が運営する「民間施設」によって大きく費用が異なります。

ここでは緩和ケア病棟、介護施設、在宅ホスピスの費用の目安について紹介します。

緩和ケア病棟の費用相場

厚生労働省から「緩和ケア病棟」の承認を受けた施設の医療費は定額です。

令和4年度診療報酬改定によると、最初の30日間の1日あたりの入院費(10割負担)は緩和ケア病棟入院料1で5万1,070円(5,107点)、もしくは緩和ケア病棟入院料2で4万8,700円(4,870点)となっています。

①平均入院日数が30 日未満かつ入院までの待機日数が14日以内

もしくは

②退院患者の割合が15%以上(転院を除く)

この2つの条件を満たす病院だと、緩和ケア病棟入院料1が適用され、満たさないと緩和ケア病棟入院料2が適用されることになります。

1割負担、2割負担、3割負担で自己負担額は変わりますが、たとえば75歳以上の一般所得者の場合は1割負担なので、1日あたり5,107円、もしくは4,870円です。70歳以下の一般所得者は3割負担なので、1日あたり1万5,321円、もしくは1万4,610円となります。

ただし、1カ月間に自己負担する医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用することで自己負担限度額の支払いで済みます(入院時の食事代や差額ベット代などの費用は、高額療養費制度の対象外)。

介護施設の費用相場

シニア向け分譲マンション以外の介護施設では、入居後に月額使用料を支払うのが一般的です。

ケアハウスや特別養護老人ホームのような公的施設の場合、月額使用料は要介護度や居室の種類によっても異なりますが、6〜15万円前後が目安となります。入居一時金はケアハウスで数百万円かかる場合もありますが、特別養護老人ホームは不要です

一方、介護付き有料老人ホームのような民間施設の場合、月額利用料は10〜35万円と幅があり、基本的に入居一時金がかかります。施設の種類によっても入居一時金の金額は異なりますが、数百万〜数億円かかるところもあるでしょう。また、身元保証人が要求されることも多いです。

ちなみにシニア向け分譲マンションは基本的に購入して所有するもので、購入費用は数千万〜1億円と高額です。

また、介護施設で緩和ケアやターミナルケアなどの対応をしている場合、所定の条件を満たすことで、医療行為を行わない場合の「看取り介護加算」、もしくは医師や看護師による医療的行為が含まれる「ターミナルケア加算」が算定され、本人の負担限度額に上乗せされます。

在宅ホスピスの費用相場

在宅ホスピスでは「医療費」と「介護費」の2つがかかり、医師による「訪問診療」や看護師による「訪問看護」、ヘルパーが行う生活支援や身体介護の「訪問介護」の利用がメインとなります。

訪問診療や訪問看護では医療保険が適用されるため、高額療養費制度を利用すれば、医療費は自己負担限度額の支払いで済みます。その場合の自己負担額は、70歳以上(一般所得者)で月1万8,000円です。

また介護費の平均額は、1万6,000円前後(要介護度5の場合は月2万円ほど)となっています。要支援もしくは要介護の認定を受けており、介護サービスを利用すれば65歳以上は基本的に1割負担です。

在宅ホスピスの場合、医療費と介護費を合わせて月4万円ほどが平均額ですが、食費やおむつなどの生活用品が別途必要なので、場合によっては月5万円〜7万円ほどかかることもあるでしょう。

まとめ ホスピスで自分らしい最期を迎えよう

「家族に見守られて最期を迎えたい」「住み慣れた自宅で残された時間を過ごしたい」と多くの人が願うものですが、家族の支援が望めなかったり、居宅での看取りが難しかったりする場合はホスピスという選択肢もあります。

「身元保証人がいない」「後見人がいなくて入居時の手続きができない」という理由でホスピスを利用できない場合は、全国シルバーライフ保証協会が提供する保証プランを利用してみてはどうでしょうか。

全国シルバーライフ保証協会は司法書士などの士業法人グループが母体なので、あなたの悩みに寄り添った提案ができるでしょう。

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この記事の担当者

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

大倉 弘行シルバーライフカウンセラー│東京シルバーライフ協会代表理事│BF・H株式会社常務取締役

2009年ベストファームグループ入社。2013年から高齢者の身元保証、任意後見、死後事務委任等のサービス「オーカスタイル」の立ち上げに従事。2019年 東京シルバーライフ協会代表理事として、同グループの高齢者支援事業の責任者を務める。

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