終活をしていると、将来必要な葬儀費用が気になることもあるでしょう。
親族に迷惑をかけないように、今から用意しておきたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、葬儀費用の目安について紹介します。葬儀費用を抑えるコツについても解説するので役立ててください。
葬儀費用の平均相場は
一般財団法人日本消費者協会(2017年葬儀についてのアンケート調査)によると、葬儀費用の平均金額は約196万円でした。葬儀社に対して支払う費用以外にも、お通夜・告別式の飲食費、僧侶へのお布施が含まれた金額となっています。
ただし、実際の葬儀費用と大きく乖離する可能性は否めません。上記のデータはあくまでも、葬儀費用の参考程度にしてください。
葬儀費用の内訳を確認しよう
葬儀費用の内訳には葬儀代、飲食代、返礼品の費用、お布施代などがあります。
お葬式自体にかかる費用
葬式自体にかかる費用には、葬儀場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、移送費などがあります。費用の目安は110万円ほどですが、葬儀の形態やグレードによっても変動します。
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の影響で会葬者を制限したり、飲食を行わないケースも多く、費用100万円以下の葬儀も増えているようですが、新型コロナウィルスの影響が少なくなれば今後も100万円を超える可能性が高いのではないでしょうか。
葬儀の飲食にかかる費用
葬儀の飲食にかかる費用には、告別料理などの飲食費だけではなく、通夜の振る舞い、精進落としも含みます。費用の目安は30万円ほどです。会葬者数によって変動します。
返礼品にかかる費用
返礼品は香典に対するお礼の品です。費用の目安は30万円ほどです。会葬者数や香典の受け取りによっても変わります。
お布施の費用
お布施とは寺・教会・神社など宗教者へのお礼です。費用の目安は20万円ほどです。ただしお布施の金額は宗教や地域によって異なるケースが多いでしょう。
希望する葬儀形式によっても費用は変わってくる
葬儀の費用は一般葬、家族葬、一日葬など希望する形式によっても変わります。
一般葬の費用
一般葬は故人の家族・親族だけではなく、友人、知人、職場関係者、近隣住人など幅広い参列者を対象にした葬儀です。正確に参列者数を見積ることが難しいという特徴もあります。
費用は参列者の数によって異なりますが、目安として100〜120万円ほどです。葬儀規模によっては300万円近い費用が発生することもあります。
家族葬の費用
家族葬は、故人の家族・親族や親しい友人のみで執り行う少人数の葬儀です。参列者が限定されるため、小規模な葬儀場で行われることが多いでしょう。
費用の目安は60〜80万円ですが、葬儀の規模によっては100万円近くかかることもあります。
一日葬の費用
一日葬は通夜がなく、告別式と火葬を1日で行う形式の葬儀です。会場費と飲食代を抑えられる分、費用は少額となります。
目安は50〜70万円ですが、葬儀の規模によっては100万円近くかかるでしょう。
直葬の費用
直葬は火葬式とも呼ばれる形式で、通夜・告別式を行わずに火葬のみを行います。他の形式よりも費用を抑えやすいという特徴があります。目安は20〜45万円です。
葬儀費用が高額になりやすいケースを確認しよう
葬儀費用が高額になりやすい4つのケースについて解説します。
葬儀費用高額ケース①:葬儀の参列者が多い
葬儀の参列者が多ければ広い葬儀場が必要になりますし、飲食費と返礼品の額も高くなります。
葬儀費用高額ケース②:高額な祭壇や棺などを選択する
祭壇・棺の種類によって葬儀費用は高額になるでしょう。特に参列者数が多い葬儀では「立派な祭壇や棺にしなくては」と遺族が考えた結果、高額な祭壇・棺を選ぶこともあります。
葬儀費用高額ケース③;葬儀社の料金プランが高い
そもそもの料金プランが高ければ、必然的に費用は高額になります。葬儀社によっても費用は異なるので確認しましょう。
葬儀費用高額ケース④:追加費用が発生する
葬儀社との打ち合わせ段階で、当初予定していなかった追加費用の説明を受けることがあります。特にドライアイス代、遺体処理料、灯籠などは追加費用として発生しやすいのではないでしょうか。
葬儀費用を抑えるためのコツとは
葬儀費用を抑える5つのコツについて解説します。
葬儀費用を抑えるコツ①:葬儀形式・規模を見直す
葬儀の形式や規模によって費用は異なります。高額になりやすいのは一般葬です。費用を抑えたい場合は家族葬と一日葬も検討しましょう。直葬(火葬式)は最も費用を抑えやすい方式です。
葬儀費用を抑えるコツ②:葬祭用品のグレードを見直す
祭壇・棺のような葬祭用品は数段階のグレードがあり、それに伴って値段の幅も広くなります。葬儀社からの最終見積りが出た後に、もう一度、葬祭用品のグレードをチェックすることも大切です。
葬儀費用を抑えるコツ③:飲食代を抑える
一般葬と家族葬は2日間に渡って通夜と告別式があり、通夜振る舞いや精進落としといった会食の場が設けられます。その際、一人あたりの料理金額を失礼がない範囲で調整することで、費用を抑えられる可能性があります。
葬儀費用を抑えるコツ④:複数の葬儀社で見積りをとる
葬儀社を1社限定で考えると高額な費用になるリスクがあります。しかし、家族が亡くなってから複数の葬儀社の費用を比較するのは時間的にも難しいでしょう。
そのため、時間がある生前に複数社から見積りをとることが大切です。予想外の追加費用が発生しないためにも、見積りの内容をしっかり確認しましょう。
葬儀費用に関するQ&A
最後に「葬儀費用の支払い」に関する3つのQ&Aを紹介します。
葬儀費用は誰が支払う?
一般的には喪主(配偶者や実子など)が支払いますが、法律で決められているわけではありません。喪主だけで支払うことが難しい場合は、他の家族・親族で費用を分担する方法も考えられます。
相続財産から葬儀費用を支払える?
可能ですが、故人の死亡を金融機関に伝えると口座が凍結されます。ただし、民法改正による「相続預貯金の仮払い制度」により所定の手続きさえ行えば、遺産分割確定前でも一定額までは故人の預貯金を引き出せるようになりました。
葬儀費用がない?どうしても払えない場合の対処方法
どうしても葬儀費用を支払えない場合は次の方法を検討しましょう。
【葬祭扶助制度】
遺族が最低限の生活を維持するのも苦しい状態にある場合などに利用できる制度です。国が最低限の葬儀費用を負担します。
【葬儀ローン】
葬儀社によっては、ローンの申し込みに対応しているところもあります。ただし、審査に通過する必要があるので、誰でも必ず利用できるわけではありません。葬儀と共にローンに申し込んだ場合は、葬儀が始まる前に審査結果が分かるでしょう。
【死亡保険金】
個人が生命保険に加入している場合は、死亡保険金を受け取れる可能性があります。ただし、保険金がおりるまでに時間がかかる点に要注意です。
扶助・補助制度を活用する
故人が国民健康保険の被保険者であれば、自治体から葬祭費が支払われます。金額は自治体によっても異なりますが東京23区では7万円、その他の地域では3~5万円が一般的です。故人が全国健康保険協会(協会けんぽ)などの被保険者の場合には、埋葬料が支給される仕組みとなっています。
ただし、葬祭費も埋葬料も消滅時効があるので注意が必要です。
葬儀費用は葬儀形式・内容によって大きく異なる
葬儀費用は形式や内容で大きく変わります。一般的に最も費用がかかるのは一般葬で、逆に費用を抑えられるのは直葬です。
葬儀費用が高額になりやすいのは参列者数が多く、高額な祭壇や棺を用意した場合です。葬儀社の料金プラン自体が高い場合や、追加費用によって高くなるケースもあります。
費用を抑えるには、葬儀形式・規模、葬祭用品のグレード、飲食代を見直したり、複数の葬儀社から見積りをとったりなどの対策が考えられるでしょう。
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