老人ホームに入居するときや病院に入院するときに、身元保証人を求められることが多いです。では、もしも身元保証人を用意できなかったとしたら、入所や入院を断られてしまうのでしょうか。
本記事では、身元保証人の概念や必要になるケース、身元保証人がいない場合の対処方法などを解説するのでお役立てください。
そもそも身元保証人とは
就職(入社)の雇用契約時や、病院・介護施設の入居時などに本人の身元を保証するのが身元保証人です。一定の責任も担うという特徴があります。
身元保証人が負う責任の例として、会社が損害を被った際の補償や、医療・介護施設への費用の支払いが滞った場合は本人に代わって支払わなければなりません。
そのため、通常は家族・親族などに依頼するケースが多いです。依頼する人が周りにいない場合は専門業者に相談する必要があります。
身元保証人の責任の範囲
身元保証人の責任の範囲について「期間」と「解除権」に分けて解説します。
期間
身元保証人の責任範囲は広いため、責任を負う期間があらかじめ設定されています。
特に期間を設けなければ3年、設けた場合は5年が上限です。5年以上の期間を定めても5年までです。5年以上は契約を更新する必要があり、更新を行う場合も5年が限度です。
たとえば、介護施設の入居時に期間が定められていなければ入居から3年が限度です。期間が定められている場合は最長5年となります。
解除権
身元保証人は比較的簡単に解除が可能です。解除要件には以下の2つがあります。
- 本人が損害を与える恐れがある場合
- 本人の契約内容が変更になった場合
1の例として、介護施設に入居した本人が施設内の物を盗むなどの犯罪行為が該当するでしょう。そのような恐れがあれば解除できます。
2に関しては、当初契約した介護施設から、遠方の介護施設に移転した場合などが考えられるでしょう(契約内容によっても変わります)。
このような事態が発生すれば身元保証人は解除可能ということです。
介護施設入居の際、身元保証人が必要となる理由
介護施設が身元保証人を求める理由は、入所者に万が一のことが起こった際に対応をしてもらいたいからです。たとえば、身元保証人は体調悪化や事故による怪我などの場合の緊急連絡先になります。
また、施設退所時の身柄の引受けであったり、入所者が施設利用料を支払えない場合の肩代わりであったりと、身元保証人に求められる役割は様々です。
認知症で意思疎通が図れない入所者の場合であれば、手術の同意などを求められることもあります。また、入所者の死亡時の遺体の引取りも身元保証人が担うことがあります。
身元保証人と混同されやすい用語との違いを解説
身元保証人とよく混同されやすい用語に「身元引受人」「連帯保証人」「後見人」があります。それぞれの違いを解説するので参考にしてください。
身元引受人との違い
身元引受人は医療施設・介護施設の退所時や死去した際に引き受ける人物という意味で使われるケースが多いです。
身元保証人と身元引受人に明確な区別はなく、責任の範囲は施設によって異なります。身元保証人と身元引受人を同一視する施設もあれば、それぞれ異なる立場として考えている施設もあります。
ただし、身元保証人とは異なり、身元引受人という法律用語は存在しません。
連帯保証人との違い
身元保証人の責任の範囲は限定的ですが、連帯保証人は本人が発生させたすべての損害を賠償する義務があります。
仮に介護施設に入所している本人に賠償責任が発生した場合、本人に支払える能力があったとしても、連帯保証人は断れないということです。「まずは本人の預貯金を調べてください」と主張することもできません。
このように身元保証人と比較して、連帯保証人は非常に重い責任を担います。
後見人との違い
後見人とは、判断能力が不十分な人を保護する制度です。
後見人は本人の財産管理を委任しているので、財産の使い道を決められます。ただし本人の死去と共に後見人は役目を終えるため、後見人として死後事務を行うことはできません。
一方、身元保証人は死後事務の対応が可能です。
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【高齢者向け】身元保証人が必要となる主なケース
高齢者にとって身元保証人が必要なケースに「介護施設への入居」「病院への入院」「死亡したとき」の3つがあります。
ケース1:介護施設に入居するとき
老人ホームのような介護施設に入居する際は身元保証人を決めなければなりません。施設によっては身元保証人以外に連帯保証人も必要です。
介護施設での身元保証人の主な役割に以下があります。
- 緊急時の連絡を受ける
- 入居先でのトラブル相談の連絡を受ける
- 治療の際の手続きを決める
- 月額費用を保証する
- 退去時の手続き(退去書類への署名)
- 退去時の原状回復(物品引取)
- 介護サービス更新や物品購入への同意
介護施設としても、身元保証人の存在によって施設を適切に運営していると考えられるでしょう。
ケース2:病院に入院するとき・手術を受けるとき
病院のような医療機関に入院する際、身元保証人を求められることがあります。医療機関によっては身元保証人がいなければ入院できません。
病院での身元保証人の主な役割は以下です。
- 緊急時の連絡を受ける
- 入院費の支払いを保証する
- 治療方針を決定する(本人の意思が確認できない場合)
ケース3:死亡したとき
本人が病院や介護施設で死去した際は身元保証人が身柄を引き取ります。未払いの入居費や治療費があれば支払いも必要です。さらに介護施設の場合は私物の整理、遺留品の引き取り、居室の原状復帰なども行います。
また、身元保証人は葬儀や死去に伴う事務手続きも行うのが一般的です。
身元保証人になれる人の条件
身元保証人の条件は身元保証人を必要とする施設によって異なります。本人の子どもや配偶者が身元保証人になるケースが多いものの、友人や知人まで認めている場合もあります。
基本的には、安定した収入があれば身元保証人になれます。ただし信用力を示すため、収入を証明する書類の提出は必須です。
あらかじめ「身元保証人にはどのような条件があるのか」を施設利用時に確認しておくと安心できるでしょう。
身元保証人の頼み方や、注意すべきポイント
身元保証人を頼む際には、後々のトラブル発生を避けるために、いくつかのポイントに注意しなければなりません。
ひとつ目のポイントは、施設が求める身元保証人の条件を確認することです。前述のように、親族しか身元保証人として認めていなかったり、身元保証人に安定した収入を求めたりする施設もあるためです。
条件に合う親族や友人が見つかったなら、ふたつ目のポイントとして頼み方にも注意しましょう。身元保証人の役割や責任をしっかりと理解したうえで引き受けてもらう必要があります。
十分に説明しないと、相手は「名前を貸すだけだ」と思って安易に引き受けてしまうかもしれません。トラブルを予防するためにも、身元保証人を頼む際は、役割や責任を詳細に説明しましょう。
身元保証人が必要とされる社会的背景
「身元保証人を誰にもお願いできない」という問題を抱える高齢者が増えています。身元保証人が見つからない場合、介護施設などに入所できないこともあります。
では、どのような背景で高齢者は身元保証人を用意できないのでしょうか。
実子と同居していない高齢者が増えている
何かあったときに頼れるのは自分の子どもです。
厚生労働省の「2022(令和4)年国民生活基礎調査」表4からは、65歳以上の高齢者が実子と同居する割合は低下していることがわかります。昭和61(1986)年に64.3%であったものが、令和4(2022)年には33.7%となっています。
実子と同居していないと会話する機会が減り、少しずつ疎遠になっていきます。「仕事や育児で忙しい子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちから、何かがあっても頼みにくいと感じてしまいます。
特に親戚づきあいが少ない人は「今さら親族にお願いするのは気が引ける。拒否されて気まずくなるのも嫌だ」という気持ちが働くかもしれません。高齢者が自分の子どもを頼れずに身元保証人を立てられないというケースもあります。
出典:厚生労働省|2022(令和4)年国民生活基礎調査
一人暮らしの「おひとりさま」高齢者が増えている
一人で暮らす高齢者「おひとりさま」が増えています。配偶者に先立たれて子どももいない方や、結婚歴がなく独身で暮らしている方は、そもそも身元保証を頼める家族が身近にいません。
「令和4年版高齢社会白書」の中で、内閣府は65歳以上の一人暮らしが増加していると発表し、さらに今後も増加すると予想しています。身元保証人を頼める人がいない高齢者も、増えていく可能性が高いでしょう。
出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書
身元保証人を用意できない場合の対応方法
身元保証人を用意できない場合の2つの対応方法を紹介します。
身元保証人が不要な施設を探す
数は少ないものの、身元保証がいらない施設も存在します。もしくは後見人がいれば入居できる施設もあるようです。
ほかにも、身元保証会社と提携している施設があるので、身元保証人がいない場合は探してみるとよいでしょう。
身元保証の代行サービスを利用する
身元保証サービスとは、身元保証人の役割を引き受けてもらえる団体です。主に営利を目的としない一般社団法人やNPO法人、民間の株式会社が運営しています。
主なサービス内容として、保証人・身元保証人の引き受け以外にも、生活事務サポート、財産管理、葬儀・納骨まで対応してくれます。
身元保証サービスにもいろいろあるため、依頼先を選択する際は信頼性を重視しましょう。
代行サービスの選び方や注意点
身元保証の代行サービスを選ぶ際のポイントを紹介します。
- 身元保証だけではなく、死後事務まで対応する代行サービスもあるので、どのようなサービスがあるのか確認する
- どのサービスを受けたいのか、自分に必要なものや要望を具体的に伝える
- 受けたいサービスにかかる費用の総額を算出する
- 自分の最後まで費用を支払っていけるかどうか、資金計画を作成して検討する
- 疑問点・懸念点が見つかればすぐに問い合わせて確認する
上記のポイントをしっかりと押さえ、慎重に身元保証サービスを選ぶことが大切です。身元保証代行サービスの利用が決まったら必ず契約書を作成し、控えをもらって紛失しないように大事に保管しましょう。
代行サービス利用のメリット
身元保証の代行サービスのメリットは、親族や友人に頼ったり、心配をかけたりすることなく、施設入居ができることに尽きるでしょう。
身元保証人を頼みにくいという人や、頼んだが断られてしまった人、おひとりさまで身寄りがいない人にとっても身元保証代行サービスは心強い味方です。
また、身元保証の代行サービスのもうひとつのメリットは、代行しているのが法人なので、法人がつぶれないかぎり、永続性があることです。
いくら自分より若い家族や友人に身元保証人になってもらったとしても、自分より先に病気や怪我で身元保証人が継続できなくなったり、死亡したりしないとは言い切れません。
もし先に保証人の方に万が一のことが起これば、改めて身元保証人を探さなければなりません。この点、法人であればそのようなことは起こりません。
もちろん、身元保証人を改めて探す必要が出た場合に、代行サービスの利用を開始することもできますが、それであればはじめから代行する方が良いですよね。
代行サービス利用のデメリット
身元保証代行サービスを利用するデメリットのひとつが「費用」です。身元保証サービスは継続利用が前提とされているものが多く、その場合は、施設に入所し続ける限り保証費用がかかり続けます。
また、契約したプラン外のサービスを利用しようとすると予想外に高額な費用がかかる可能性があるため、計画的に利用しなければなりません。
利用者が安心して施設を利用するための身元保証サービスが、利用者の生活資金を脅かすようでは本末転倒です。
また、身元保証代行サービス業者のなかには、高額な費用に見合わない低品質なサービスしか提供しないものもあります。良くない業者を選んでしまわないように、しっかり準備しましょう。
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身元保証代行サービスを巡るトラブルや、予防方法
次に、身元保証代行サービスを巡るトラブルや、トラブルの予防方法について解説します。
報告されたトラブルの例
身元保証代行サービスについて、国民生活センターには次のような相談が寄せられています。
- 契約するつもりのなかったサービスも含まれていた
- 預託金を支払うように言われているが、詳細な説明がない
- 約束されたサービスが提供されないので解約を申し出たが、説明のないまま精算された
出典:独立行政法人国民生活センター|身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意
過去には経営状態のよくない事業者が預託金を運営資金に流用した後に破綻してしまい、預託金の返還を受けられないという事件も発生しました。
今はそのように資金管理がずさんな事業者は見かけなくなってきましたが、楽観視しすぎるのは禁物です。
トラブルの予防方法
身元保証人を巡るトラブルを予防するために重要なのは、「調査」と「確認」です。
利用したい身元保証サービスが見つかっても、すぐに契約してはいけません。
契約前に運営母体や預託金の管理体制、提供されるサービス内容、返金時の対応、サービスの評判などをしっかりと調査しましょう。
契約時も契約書上に記載されたサービス内容などを細かくチェックしてください。少しでも疑問に思う箇所があれば、担当者に質問しましょう。納得できる回答が得られるまでは、契約書にサインしてはいけません。
また、費用については特にシビアに確認する必要があります。基本料金に含まれるサービスと含まれないサービスを明確に区別したうえで、将来的にかかりうる費用総額を算出しましょう。
とにかく、信頼に足る業者を選ぶことを最優先にしてください。
また、可能であれば契約前に親族に相談して判断を仰ぐことで、悪質な業者の被害に遭うリスクを下げることができます。
出典:消費者庁|「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ
まとめ 身元保証人をお願いできる人が身近にいない人は、身元保証サービスの利用を検討しましょう
一般的に病院や介護施設に入る際は身元保証人が求められます。家族や親族に頼めない場合は、身元保証不要の利用先を探したり、身元保証サービスを検討したりするとよいでしょう。
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