身元保証人は就職や賃貸入居、入学、入院、施設入居など、さまざまな状況で必要とされます。
高齢者が老人ホームなど施設に入居する際には、身元保証人が必要になるケースが多いです。身元保証人として家族や親族を求める施設もあれば、入居条件さえ満たせば、友人や知人でも問題ないところもあります。
ただし身元保証人には役割があるため、しっかり選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、身元保証人の選び方や役割について詳しく解説します。身元保証人選びで後悔しないための正しい知識を身に付けましょう。
施設入居時の身元保証人の役割とは?
老人ホームなどの入居時に必要な身元保証人とは、本人の身元を保証する第三者をいいます。
平成30年にみずほ情報総研株式会社が公表した資料によると、「利用者の入院・入所時に『身元保証人など』を求めているかどうか」というアンケートに対して、約9割以上の施設・病院が「身元保証人などを求めている」と回答しています。
このように多くの施設が身元保証人を求めていますが、具体的な役割には何があるのでしょうか。入居施設によっても異なりますが、主に以下の5つが挙げられます。
- 緊急時の連絡先
- 入居者に代わる生活上の各種手続き
- 入居者に代わる意思決定
- 施設への支払い債務の連帯保証
- 身柄や荷物の引き取り
それぞれ詳しく解説していきます。
参考URL:みずほ情報総研株式会社「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」
緊急時の連絡先
身元保証人は、入居者の状態や病気に関して定期的に連絡を受けます。ケガや事故、容態の急変で救急搬送されたときも連絡が入りますし、その際は医療機関・施設との連絡・調整も行う必要があります。
実際に緊急時の連絡が入った際は、遠方にいても速やかに駆けつける必要があります。
入居者に代わる生活上の各種手続き
入居者本人に代わって入退院の手続きや費用の支払い、年金や保険など行政関係の手続きを行います。費用の支払いに関しては、本人の代わりに身元保証人が金融機関で手続きを行わなければなりません。
入居者に代わる意思決定
入居者に代わって、ケアや治療方針などを決定します。例えば病院での治療方針や、老人ホームにおけるケアプランの判断などがあります。
施設への支払い債務の連帯保証
金銭債務に関して、身元保証人は入居者と連帯して負担しなければなりません。施設の月額利用料の支払いを滞納した場合は、清算が必要です。そのため、連帯保証は非常に重い責任を担うといえるでしょう。
身柄や荷物の引き取り
入居者が退去もしくは死亡した際は、身元保証人が身柄を引き取ります。その際は退去時の手続きや、私物の引き取りも行います。過度の破損などがあれば、居室の原状回復費用の支払いも必要です。
身元引受人との違い
「身元保証人」と「身元引受人」という言葉に、明確な定義はありません。施設によって身元保証人を身元引受人と呼ぶことがありますし、両者を区別して使用することもあります。
前述したみずほ情報総研株式会社が公表した資料によると、「『身元保証人など』の呼び方」として、身元引受人と呼ぶ施設は 65.8%、身元保証人と呼ぶ施設は15.2%、連帯保証人と呼ぶ施設は15.8%です。
このように身元保証人のことを身元引受人と呼んでいる施設が多いです。
両者をきちんと区別するならば、「身元保証人」は器物破損や他の入居者に損害を与えた場合の保証、金銭債務の連帯保証を担います。その場合、身元保証人は連帯保証人の意味合いが強いでしょう。
「身元引受人」の役割は、施設や病院の退去時の費用清算や手続き、入居者の引き取りです。
施設によって身元保証人兼身元引受人を1人用意すれば済む場合もあれば、連帯保証人(身元保証人)と身元引受人をそれぞれ1名ずつ必要な場合もあります。
より詳しく身元引受人について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
身元引受人とは?お願いできる人がいない場合の対処方法
身元保証人選びで後悔しないための注意点
ここでは、高齢者が身元保証人を選ぶ際の注意点について解説します。
解除されるリスクがある
何度も身元保証人に迷惑をかけてしまうと、身元保証人から「変更してほしい」と解除を切り出される可能性があります。
例えば、日常的に老人ホームでトラブルを起こしていると問題を起こすたびに身元保証人が呼び出されます。身元保証人の負担が大きくなれば解除される要因となります。
また、入居者の身体の衰えによって医療的なケアが必要な場合、老人ホームは身元保証人に判断を委ねます。
身元保証人が重要な判断を下す可能性があるため、深い付き合いではない友人に依頼すると、その重責から解除したいと言い出されることも考えられます。
ほかにも、老人ホーム入居後に入居者の収入で入居費が賄えない場合、身元保証人が代わりに債務を負う必要があります。その債務の負担を避けるために解除をされかねません。
身元保証人の解除を防ぐには、事前に身元保証人の役割について正確に伝えることが重要です。
できれば成年後見人とは別の人に身元保証人をお願いする
すでに成年後見人を立てている場合、成年後見人に身元保証人に依頼すると将来的に問題が生じる可能性があります。
成年後見人でも身元保証人になれますが、法律的には利益相反の恐れがあります。利益相反行為になると、その行為は原則無効になり、法律上効果は発生しません。
例えば、成年後見人が身元保証人となった場合、身元保証人として成年被後見人から保証したお金(施設費用など)の返済を受けようとしても利益相反行為となり、返済を受けることができません。
そうなると、成年後見人は、保証人としてお金を出しながら、その回収を行うことができなくなります。他人の保証人を”ボランティア”で引き受けるに等しい状態です。
また利益相反行為を行おうとすれば、監督を行う家庭裁判所から、後見人の職責に違反するとして、最悪解任事由や損害賠償請求の恐れもあります。
このようなリスクがあることから、成年後見人に身元保証人を頼むのは望ましくありません。
身元保証人をお願いできる家族・友人がいなかったら?解決策はあるの?
身元保証人を頼める人が周囲にいない場合、どうすればよいのでしょうか。ここでは、2つの解決策について紹介します。
「成年後見人」を利用できる老人ホームを選び、身元保証人になってもらう
一部の老人ホームなどでは成年後見人を身元保証人の代替として認めています。
先述の通り、成年後見人にとっては将来のリスクを回避するために身元保証人にならない方がいいですが、身元保証人に「なってもらえない」わけではありません。
成年後見人になった専門家は被後見人の身上監護の義務があるため、本人に施設入居が必要であればそのように努めなければならず、仕方がなく身元保証人も兼ねることもあります。
また実際に身元保証人として支払いを行わない限りは利益相反行為を行うわけでありません。
そのような背景のもと、成年後見人は将来のリスク回避のために別途身元保証人を立てるように努めるのですが、本人の財産が少ないために成年後見人とは別に身元保証人を立てようとしても立てられないケースも多いと思われます。
このような理由から結局、仕方がなく成年後見人が身元保証人を兼任している現状があります。そのため、成年後見人を代替として利用できる施設があるのなら、成年後見人に身元保証人をお願いできないか、頼んでみると良いでしょう。
ただ、成年後見人にも利益相反のリスクがあるので、なるべく成年後見人以外の方に身元保証人を依頼するのが望ましいです。
身元保証人を本当に依頼できる人がいないか周りの方に当たり、成年後見人に身元保証人になってもらうのは成年後見人以外誰も助けてくれない場合の最終手段としておきましょう。
ちなみに入居者が亡くなると同時に後見は終了するので、原則、成年後見人は死後の手続きはできません。死後の手続きや相続手続きなどを依頼したい場合は、別に「死後事務委任契約」や「遺言」を作成する必要があります。
身元保証会社を利用する
身元保証人や身元引受人の役割を代行している「身元保証会社」を利用する方法があります。
身元保証会社は主に社会福祉協議会や法律事務所、一般社団法人、NPO法人などによって運営されており、身元保証人が必要な時に親族や知人に代わって身元を保障してくれるサービスです。具体的には次のようなサービスが提供されています。
- 入居する契約者の(施設に対する)債務の連帯保証
- 入退去の手配協力
- 退去時の身元引受
- 退去時の居室の残置物の搬出
身元保証会社ではこれらに死後事務もあわせて一つのパッケージで提供しているのが一般的です。さらに、任意後見の手続きや遺言作成も支援内容として含むサービスもあります。
身元保証会社を利用すれば老後のことで親族や知人に迷惑をかけませんし、身寄りがいなくても身元保証人が立てられるので注目を集めています。
身元保証会社とのトラブルを回避するには?事例や対処法、信頼できる身元保証会社サービス選びを解説
身元保証会社を選ぶ際の注意点
身元保証会社の費用は、サービス内容と範囲によって大きく異なります。サービスが手厚ければ手厚いほど費用も高額になる可能性が高いため、2〜3社を比較してから決めるとよいでしょう。
その際は、できるだけ一人で判断せずに第三者に相談することが大切です。
特に重要なのは信託口座で預託しているかどうかや、身元保証会社が倒産したときの対応です。過去には預託金の流用が発覚し、後に経営破綻した会社があり、身元保証サービスのイメージを大きく損なう事件がありました。
今ではそのような会社はほとんどないと思いますが、念のため、しっかり契約前に確認しておきましょう。
まとめ 老人ホームの身元保証人は法人利用で解決!一般社団法人シルバーライフ保証協会に相談してみよう
施設への入居時には、身元保証人を求められることがあります。身元保証人の主な役割は、緊急時の連絡、生活上の各種手続き、意思決定、連帯保証、身柄や荷物の引き取りなどです。
ただし、親しくない知人を身元保証人にすると、解除を切り出されるリスクがあるので注意が必要です。
身元保証人を頼める家族や友人がいない、または頼みたいけれども子どもに迷惑をかけたくないといった事情があれば、身元保証をサポートする法人の利用を検討してください。
一般社団法人全国シルバーライフ保証協会でも身元保証サービス「オーカスタイル」を提供しています。全国シルバーライフ保証協会では預かった預託金を外部の信託会社に信託しています。
万が一倒産するようなことがあっても信託法でも全額保護されるので安心してご利用いただけます。サービスの詳細はこちらをご覧ください。
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