30代、40代は仕事や育児に追われ、心も身体も手一杯ですが、50代は時間にゆとりが出来始める年代です。
しかし50代に入ると、「今後の人生が不安……」と焦りを感じたり「若い頃にこうしておけばよかった」と後悔の念が押し寄せたり、男女共に更年期に差し掛かったりと、心も体も不安定になりやすくもあります。
人生100年時代といわれる昨今、50代は人生の後半戦の入り口です。そこでこの記事では、50代という年代の捉え方や、人生の後半戦を豊かにする生き方について考えてみましょう。
50代になって生きる希望がないと感じることがある方にお読みいただければと思います。
人生において50代はどんな時期なのか?
20代の頃は、仕事を覚えようと必死に励んだり、恋愛や趣味などのプライベートも充実していたのではないでしょうか。その後、仕事に慣れて結婚を意識する30代を経て、仕事や育児・家事などに追われつつも、やりがいを感じる40代を過ごしていたかもしれません。
人によって人生の道のりは異なるため一概にはいえませんが、20代〜40代は目の前の生活に追われ、まだ本格的に人生を振り返る時期ではないでしょう。
しかし50代に差し掛かると、会社員の場合は定年退職というゴールが見え始めますし、子どもがいる場合は子育てが一段落し、気持ちに余裕が生じます。
その分、今までの人生を振り返り、自分自身と向き合うことで悩みを抱えやすい年代ともいえます。特に今まで家族のために生きてきた人は、「自分のことを後回しにしていた…」と後悔するかもしれません。
内閣府が令和3年に行った「国民生活に関する世論調査」によると、「日頃の生活の中で、悩みや不安を感じていますか」という問いに対して、50〜59歳の81.6%が「感じている」「どちらかといえば感じている」と回答しています。
「悩みや不安を感じているのはどのようなことか」という問いに対しては、「自分の健康」が60.8%、「老後の生活設計」が58.5%、「今後の収入や資産の見通し」が55.0%という結果でした。
出典:「国民生活に関する世論調査」の概要|内閣府
このように、多くの50代が様々な悩みを抱えており、人生のターニングポイントに差し掛かっている大切な時期といえます。それではどんなターニングポイントなのか、詳しく見ていきましょう。
人生の後半戦の始まり
厚生労働省の「人生100年時代に関する報告」によると、「ある海外の研究では、2007年に日本で誕生した子どもの半数が107歳より長く生きると推測されており、日本の健康寿命は世界一の長寿社会を迎えつつある」という見解が示されています。
出典:「人生100年時代に向けて」|厚生労働省
そして「人生100年時代」を踏まえると、50歳は人生の折り返し地点であり、人生の後半戦に差し掛かっているといえます。
人生の前半戦である40代までを基盤形成の時期と考えると、50代から始まる後半戦は基盤を活用し、これから何をすればよいのかを本格的に考える時期だといえます。
老後を意識するライフイベントが増えてくる
50代で会社員として働いていると、定年退職というゴールが見え始めます。定年退職を意識することで、年金生活をスタートする老後についても考える機会が増えるでしょう。
また、両親の体調不良や認知症など、本格的に介護を考える年代でもありますし、相続問題が発生するかもしれません。さらに子どもが親元から独立したり、孫が生まれたりするなど、家族のあり方を根本から見直す時期に差し掛かります。
このように、50代は老後を意識するライフイベントが多くなる時期です。
体調の変化が現れやすくなる時期
50代は体調の変化が現れやすくなる年代です。今まで不摂生な生活を過ごしていれば、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの生活習慣病のリスクが高くなります。
個人差があるものの、女性の場合は50歳前後で閉経する人が大部分を占め、体の変化に見舞われることが多く、精神的に不安を感じる人が多いようです。
男性の場合も、男性ホルモン(テストステロン)が減少することにより、夜中に尿意で起きたり、午後に眠くなったりなど、体の変化が感じやすくなるといわれています。
40代後半のうちは、体の変化を感じない人もいるかもしれませんが、50代前半になると、自覚症状と共に変化を実感する場面が多くなるでしょう。
【仕事、家族、生きがい】50代で考えたい3つのこと
ここまで解説してきたように50代は不安や悩みを感じやすい世代で、「生きる希望がない」と感じても不思議ではありません。不安や悩みを抱えたら「実際に何か行動してみること」がおすすめです。50代からの人生は「仕事」「家庭」「生きがい」の3つに分けて、少しずつ考えていきましょう。
起業や副業、ボランティアなど仕事について考えてみる
50代で働いている場合は、いつまで現在の仕事を続けるのかを考えておきましょう。今後の人生を見据えて起業や副業を行ったり、ボランティアに携わったりなど、社会との関わり方を見直す方もいます。
2022年10月現在、「ゆる起業」が注目されています。無理をせず、好きなことを優先するタイプの起業です。大きな利益は追求せず、リスクを回避しながら、やりがい重視で進められるので取り組みやすいのではないでしょうか。
「ゆる起業」は副業との相性もよく、たとえば高齢者向けパソコン教室の講師や、語学力を活かした在日外国人のサポートなどが考えられます。本業で培ったノウハウを活用できれば、軌道に乗るのも早いでしょう。
「やってみたかったことはないか?」という観点から「ゆる起業」を考えてもよいでしょう。たとえば手芸やクラフトが得意なら、作品をネットショップで販売するなどの方法が考えられます。
また経済的に余裕があれば、ボランティア活動も検討してみましょう。先ほどの「ゆる起業」は自分のペースで始めやすいとはいえ、ビジネスに抵抗がある人には難しいものです。その点、ボランティアは気軽に参加しやすいでしょう。
このように、50代のうちに定年後の働き方を考えることで、その後の人生設計が変わります。
家族とのあり方について考える
50代になると、子どもが巣立ってパートナーと過ごす時間が増えたり、親の介護や看取りをしたりと家族の存在をより一層強く感じる機会が増えます。
子育てや介護を終えた50代は解放感を味わう反面、喪失感や虚無感を覚えやすいものです。「自分の役割がなくなってしまった」「何をすればいいのか分からない」など、孤独感を募らせる方もいます。
心に大きな穴が空いてしまった場合、前述したように仕事との関わり方を見直したり、パートナーがいれば話し合ってみたりするとよいでしょう。
その際は老後2人でどのように過ごしたいのか、時間をかけて考えることが大切です。「いまさらパートナーと面と向かって真面目に話し合うのが気恥ずかしい」という方は子どもに相談して話し合いの場を作ってもらうこともおすすめです。
また、シングルの人は「もう50代だから」と諦めず、出会いを求める行動も人生を豊かにする方法の1つです。他にも、兄弟・姉妹との関係を深めたり、甥や姪がいれば積極的に成長を見守ったりすることも、喪失感や虚無感を埋めるきっかけになるかもしれません。
生きがいについて考える
「生きがいを見つけなければ…」と焦っていませんか?
生きがいは無理に見つける必要はありません。「生きがいがない自分は駄目だ…」と考えれば精神的に追い込まれてしまいます。
まずは50年以上、人生経験を重ねてきた自分を褒めましょう。そのうえで、あらためて何でもよいので、今後の人生でやりたいことを書き出してみてください。些細なことでもかまいません。
- 海外旅行に行きたい
- ペットを飼いたい
- バイクに乗りたい
- フラダンスを習いたい
- 草野球を始めたい
- 将棋が強くなりたい
- カフェを経営したい
- 資格を取りたい
など
上記のような「やりたいこと」が見つかれば目標も立てやすくなります。
たとえばカフェを経営するには、どのくらいの資金がかかるのか、必要なスキルには何があるのかなど、細分化して考えられます。細かく分けると自分のやるべきことが明確になるため、前向きな気持ちになり、生活にメリハリが生まれるでしょう。
老後の不安を拭い去るには準備をするしかない!終活を始めてみよう
老後の不安は避けて通れませんが、早めの準備によって不安を軽減できるかもしれません。その方法のひとつに「終活」があります。
終活とは、将来の老後や死後について考えて備えておくことです。具体的には生前整理(身辺整理)や遺産相続などを考えます
一般的に、定年退職後の65歳以降に終活を始める人が多いものの、体力や気力がある50代のうちに始めることで以下のメリットが期待できます。
- 判断力が低下する前に相続対策や財産整理を行える
- 老後に必要な貯蓄額や資産内容を把握できる(50代であれば増やすための活動にも取り組みやすい)
50代で自分の財産を把握しておくことで第二の人生を想像しやすくなる点が最大のメリットといえます。
人生の後半戦を豊かにするために!50代から終活を始めてみよう
50代は人生のターニングポイントに差し掛かる大切な時期です。健康や老後の生活設計、収入や資産で悩む人が多い年代でもあります。その場合に有効な方法が終活です。
終活によって己の人生を振り返ることで、「自分らしい最期を迎えるためには何が必要か」「残された時間をいかに有意義に過ごせるか」を考えるきっかけになり、充実した後半戦を過ごせる可能性があります。
終活のスタート時期に決まりはありません。気力と体力がある50代のうちから始めてみてはどうでしょうか。
もし自分の老後に不安がある場合は、終活サポートを利用する方法があります。
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