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孤独死したらペットはどうなる?飼い主がすべき生前の対策!ペットのための終活とは

暮らし

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独り暮らしでペットを飼っている人にとって、死後のペットの行く末は大きな心配ごとです。

飼い主が孤独死した場合にペットが生存していればアニマルシェルターや保健所で保護されますが、残念ながら衰弱死した状態で発見されるペットも少なくありません。

飼い主の死後も愛するペットが幸せに生活するには、引取先の手配、ペット信託の利用など生前に対策を講じることが大切です。

この記事では、ペットの行く末について心配している独り暮らしの高齢者の方のために、孤独死後のペットの処遇や、ペットの安定した生活の実現のために生前に準備しておける対策について解説します。

ペット(犬・猫など)の飼い主は知っておきたい独り暮らしの高齢者と孤独死の現状

独り暮らしをしている65歳以上の高齢者の数は年々増加しており、内閣府の「令和3年版高齢者社会白書」によると、その数は2020年において推定700万人とされています。

2015年における65歳以上の独り暮らし高齢者の数が約590万人だったことを踏まえると、その増加率には驚くべきものがあります。

また、東京都監察医務院が公表したデータによると、2020年に東京都23区内で自宅で死亡した独り暮らしの高齢者の数は4,207人です。

2015年時点では3,116人だったので、独り暮らしの高齢者の孤独死は増加傾向といえます。

※孤独死を自宅で亡くなった単身高齢世帯の者と定義した場合

孤独死の増加の背景には様々な要因があります。孤独死を他人事ではなく「自分事」と捉えて対策を考えておく必要があるでしょう。

内閣府|令和5年版高齢社会白書(全体版)

東京都監察医務院|年齢階級(5歳階級),性・世帯分類別異状死数(自宅死亡),東京都特別区,令和2年

東京都監察医務院|年齢階級(5歳階級),性・世帯分類別異状死数(自宅死亡),東京都特別区,平成27年

孤独死が発覚したときには誰がペットの対応をする?

飼い主が孤独死をした後にペットが生きて発見された場合は、飼い主の遺族がペットの処遇を決定するのが一般的です

飼い主に身寄りがない場合は、自治体が遺されたペットの引き取りに関する対応をします。

ペットが生きて発見される事は非常に幸運なことです。孤独死の発見が遅れたために、衰弱死した状態で発見されるペットも残念ながら少なくありません。

飼い主が孤独死をすると、自宅から出られないペットは餌がなくなり衰弱死してしまいます。

まずは事件性を調べるために検視が行われます。飼い主が孤独死をしてしまったペットの保護対応は検死が終わった後となります。

飼い主が孤独死をしてしまったときのペットの対応

ここからは、飼い主が孤独死をしてしまったときのペットの対応について、具体的に解説していきます。

ペットが生きている場合の対応

まずは、飼い主の死後にペットが生きたまま発見されたケースについて解説します。ペットが生きているケースでは、以下で紹介する3つの対応が考えられるでしょう。

遺族や友人・知人が引き取る

飼い主に遺族や親しい友人がいる場合は、ペットを引き取ってもらえる可能性があります。

特に、遺族などがペットを飼育できる環境であれば、引き取ってもらえる可能性はより高いでしょう。

独り暮らしの飼い主が亡くなると、ペットは大きな環境の変化を強いられます。環境の変化に大きなストレスを感じて体調に異変をきたすペットも少なくありません。

過去に飼い主からペットを預けられたことがある人物などペットにとってなじみのある人物がペットを引き取ってくれるのであれば、ペットの心理的な負担は少ないかもしれません。

ペットにとってそれ以上の幸せはないでしょう。

 アニマルシェルターが引き取る

亡くなった飼い主に遺族や友人・知人がいない場合や、遺族や友人・知人によるペットの引き取りが難しい場合は、アニマルシェルターがペットを引き取る可能性があります。

アニマルシェルターとは、里親を探している子犬や子猫の保護及び飼い主のいないペットの飼育を請け負ったり、里親探しが難しい犬や猫を保護して面倒をみたりする施設のことです。

アニマルシェルターのメリットは、ペットの飼育環境が整っていることです。

アニマルシェルターのスタッフは犬や猫に対する深い理解や知識を備えているため、ペットはストレスの少ない生活を送りやすいです。

ただし、アニマルシェルターはすべての自治体で活動しているわけではありません。

また、収容できる犬や猫の数も限られているため、飼い主を失ったペットが必ずしも受け入れられるとは限らないという懸念点もあります。

保健所や動物愛護センターが引き取る

保健所は、衛生面からのサポートを通じて地域住民の健康を守ることを目的とする公的機関です。

保健所の役割は多岐にわたり、その中には、飼い主のいない動物の保護・収容や里親募集なども含まれています。

保健所が犬や猫などのペットの受け入れを行う目的は、野良犬や野良猫によって引き起こされる地域のトラブルや、狂犬病などの感染病から市民を守ることです。

保健所による犬や猫などの収容期間はそう長いわけではありません。保健所での収容期間が過ぎた犬や猫は、「動物愛護センター」に移されることになります。

動物愛護センターは、動物の愛護及び管理に関する法律に則り、動物の保護や譲渡、収容、ときには殺処分などを行います。

保健所や動物愛護センターに受け入れられた動物のすべてが天寿を全うできるわけではありません。

飼い主が亡くなった後に保健所や動物愛護センターにペットが収容される事態を避けられるように、事前に対策を講じておきましょう。

ペットも亡くなっているときは自治体や特殊清掃業者による供養が一般的

孤独死をした飼い主の発見時に、ペットも既に死亡していたケースについて解説します。

このような場合には、ペットの遺体は自治体に引き渡されることもあれば、発見した特殊清掃業者によって供養されたうえで埋葬されることもあります。

一般的に、孤独死の発生から遺体の発見までの期間が長かった場合は居室の特殊清掃が必要になります。

腐敗した遺体などによる汚損は通常の清掃では落とせないため、特殊清掃を行い原状回復する必要があるからです。

特殊清掃が必要ない場合は自治体がペットの遺体を引き取り、特殊清掃が入った場合は状況に応じてペットの遺体に関する対応を特殊清掃業者に任せることになるでしょう。

ペットを飼っている方が孤独死をした事例

次に、ペットを飼っている方が孤独死をした事例について紹介します。

多頭飼いの飼い主が孤独死をした事例

多頭飼育崩壊という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

一般的には、多頭飼育崩壊とは、複数のペットを飼育している飼い主の経済状況や健康状況などが悪化したことにより、良好な飼育環境が崩壊してしまうことです。

過去には、多頭飼いの飼い主が孤独死をして、20匹もの猫が崩壊した環境で取り残されたという事例が記録されています。まぎれもない、多頭飼育崩壊の現場です。

なお、当該事例では取り残された猫たちは救助されました。

ブリーダーが孤独死をした事例

ペット可の居住用マンションでブリーダーを営んでいた60代の飼主が孤独死をして、異変に気付いた周囲の住民が通報した結果、飼育していた9匹のうち、7匹の猫が救助されたという事例もあります。

ブリーダーは発見された時点で死後10日ほど経っていたこともあり、2匹はお風呂場で重なるように死亡していたようです。

7匹の猫は衰弱した状態で、家主から連絡を受けた動物愛護団体に引き取られました。

マンションで孤独死をした事例

マンションに入居していた飼い主が、ペット2匹を遺して孤独死をした事例もあります。飼い主はセルフネグレクト状態に陥っていたとみられ、部屋はごみ屋敷と化していました。

ペット2匹は、残念ながら、ごみの中から発見されたケージの中で死亡していたと報じられています。

もし孤独死してしまったら……ペットのために今からできる対策や終活

孤独死をした飼い主に遺されたペットは、最悪の場合、殺処分されてしまう可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、孤独死をした場合に備えて、これから紹介する対策を実行しておきましょう。

ペットに関する情報をまとめる

ペットが次の飼い主や施設のもとでストレスなく暮らしていけるように、ペットに関する引き継ぎ情報をノートやメモ、手帳などにまとめておきましょう。

まとめておきたい情報は次のとおりです。

  • 名前
  • 生年月日
  • 性別
  • 種類(犬種・猫種といった情報)
  • かかりつけ医
  • 病歴
  • 手術歴
  • ワクチン接種歴
  • ワクチン接種証明書など健康に関する書類の保管場所

 

情報をまとめたノートと一緒に、ワクチン接種証明書や検査記録などの書類を保管しておきましょう。

また、それらを発見してもらうために、実印や年金手帳、物件の契約書といった貴重品などと同じ場所でわかりやすく保管しておくことをおすすめします。

終活でエンディングノートを作成する場合、ペットの引き継ぎ情報も併せて記載することで情報をひとまとめに管理できるため、死後手続き上の混乱の発生を予防しやすくなるでしょう。

親族や友人などとあらかじめ協議しておく

自分の死後に、ペットを友人や親族に引き取ってほしい場合はあらかじめ相談しておきましょう。

相談なしで、エンディングノートで友人や親族をペットの引取先として指定していたとしても、ペットを引き取れる状況になければ引き取りは困難です。

特定の人物による引き取りを希望するのであれば、その人物が引取可能な状況にあるのかどうか、引き取る意思があるのかどうかなどを事前に確認しておきましょう。

場合によっては、ペットを受け入れる準備を進めてくれたり、ペットを引き取ることができる別の人物を紹介してくれたりといった対応が期待できます。

負担付遺贈・負担付死因贈与契約の手続きをしておく

親族や友人にペットの引き取りを相談する際には、必要に応じて負担付遺贈・負担付死因贈与といった法的な契約についても説明すると良いでしょう。

負担付遺贈と負担付死因贈与は、遺贈・死因贈与で利益(権利)を受ける受贈者が、交換条件として一定の負担(義務)を担うという手続きです。

受遺者が負担を履行しない場合は、相続人や遺言執行者が催告したうえで遺言の取り消しを請求し、取り消し後、遺贈の対象になっていた財産は相続人全員で遺産分割を行います。

負担付遺贈・負担付死因贈与は、どちらも遺贈者の死亡を条件として財産の移転の効果が生じる法律行為です。

遺贈が、遺言者による遺言書作成という単独の行為によって成立するのに対し、死因贈与は当事者間の契約がなければ成立しないという違いがあります。

ペットの引取り相談時においては、たとえば、ペットの引取・世話を負担(義務)してもらう代わりに財産(権利)を贈与する、といった形で負担付遺贈や負担付死因贈与を活用する方法が考えられます。

負担付死因贈与においては、公正証書で契約書を作成しておくことで、契約履行の実効性を高めることができます。

また、負担付遺贈・負担付死因贈与どちらも、遺言執行者・死因贈与執行者を定めておくことで、受贈者が義務を果たしているかどうかを監督できます。

ペット信託を活用して病気やケガ、相続の対策をする

孤独死後のペットの行末が不安な方は、解決策として「ペット信託」の活用を検討しても良いかもしれません。

ペット信託とは、財産の一部を死後のペットの生活に必要となる各種費用として信頼できる方へ信託する方法です。

契約者である飼い主の死亡後には、信託契約の締結相手が信託財産からペットの飼育費用・通院費用などを賄います。

信託財産が本当にペットのために使われるかどうかが不安である場合は、信託の監督人を定めておけば安心です。監督人がいればペット信託上の契約違反を防ぎやすくなります。

ペット信託の利用を検討したい場合は、ペット信託や家族信託の対応実績が豊富な専門家(弁護士・司法書士など)に相談すると良いでしょう。

死後事務委任契約を結ぶ

ペットの引き継ぎに必要な各種事務手続きなどの履行の確実性を担保したい場合は、死後事務委任契約の利用を検討しましょう。

死後事務委任契約とは、死後に発生する事務手続きを他者に委任できるとして、終活を行う人々からの注目を集めている契約です。具体的には、以下のような手続きを委任できます。

  • ペットの引取先の指定
  • 遺体の引き取り
  • 葬儀・納骨・永代供養の手続き
  • 親族・知人への連絡
  • 行政手続き
  • 部屋の清掃や家財の処分
  • 家賃・介護費用・医療費などの精算
  • Webサービスやデジタルデータの解約・処分 など

 

ペットの引き継ぎに関して希望する事務手続き(指定された引取先へのペットや情報の引き継ぎなど)を契約内容に定めておくことにより、口約束以上の実効性を確保できます。

また、遺族や賃貸住宅の家主にかかる負担を軽減できるため、積極的に活用していきたい手法です。

ペットと一緒に入居できる老人ホームを探す

一人でペットの世話をするのが困難な場合や、孤独死後のペットの衰弱死を是が非でも回避したい場合は、ペットと一緒に入居できる老人ホームを探すのも一手です。

ペットも入居できる老人ホームの多くには、下記のような特徴があります。

  • 1匹まで入居可
  • 入居時の保証金が必要
  • ペットの世話用の管理費(散歩費用などを含む)が必要
  • ペットによる居室の汚損や滅失に対する原状回復義務を課せられる

 

ペット可の老人ホームへの入居は、孤独死の防止にも効果的です。

ただし、衛生管理の難しさや人手不足、入居者全員の同意が必要などの理由から、2024年時点においては数が少ないのが現状です。

そもそも孤独死とならないための対策を打っておくことが重要

飼い主亡き後のペットに関する不安を根本から解消したいのであれば、孤独死そのものを回避するための対策が必要だと言えます。具体的な対策の一例は以下のとおりです。

  • 親族による定期的な安否確認
  • ボランティア活動などを通じた地域社会とのつながりの形成
  • 自治体の支援者・民間事業者による見守りサービスの活用
  • 設置型の転倒検知センサーの活用
  • スマートフォンアプリなどによる位置情報の共有

 

考え得る対策をすべて講じておくことが、ペットの生活保障につながります。

孤独死を防ぐために特に大切なのは、地域社会や他者とのつながりの維持です。

ペットを飼っている高齢者は孤独死に備え生前に対策をしておこう

大切なペットには、自らの死後もずっと幸福に生活してほしいものです。その願いを叶えるためにも、心残りのないように、孤独死への備えを整えておくことが重要です。とは言え、何から準備を始めれば良いのかわからないという人は多いでしょう。

自分の現状を客観的に把握したうえで、ペットのためにできる限りの対策を実行しておきたい人には、終活の専門家への相談がおすすめです。終活の専門家であれば、ペットのための終活という目線に立って効果的かつ現実的に実行可能な選択肢を提案してくれるでしょう。

全国シルバーライフ保証協会は、終活や老後の生活に不安を抱える方のための死後事務委任契約を提供しています。ペットの引取先を含む、死後の手続きへの不安を解消できます。

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この記事の担当者

丹野 和希東京シルバーライフ協会理事

丹野 和希東京シルバーライフ協会理事

2017年ベストファームグループ入社。東京シルバーライフ協会スタッフとして契約面談、契約後のお客様サポートを担当。

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