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老後資金の準備と計画について

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令和元年6月金融庁の報告によって「老後2,000万円問題」が話題となりました。

これは、金融庁が公表した報告書の中で、「典型的な夫婦で男性65歳、女性60歳として、老後の30年間を過ごした場合、毎月約5万円不足し、累計で不足額が約2,000万円になる」というものでした。決して、高齢者全員が2,000万円不足するといった趣旨のものではなく、あくまで参考値です。

しかしながら、この「2,000万円」が独り歩きした結果、国会で政府が批判を受け、政府はこの報告書を受取らない事態となりました。
このような出来事があったものの、各金融機関への運用相談は大幅に増加、又「マネーセミナー」は活況を呈しており、何とも皮肉な結果となっております。
2025年には団塊世代がすべて75歳以上となり、2050年には、65歳以上の総人口に対する割合は現在の約30%から40%となります。公的年金が破綻し、年金の受給額が「ゼロ」になる事は考えにくいですが、受給年齢が引き上げられたり、年金支給の金額が減る可能性は否定できません。

資産運用について考えよう

それでは、

長年低金利が続く現在どのように資産を運用すればいいのでしょうか?

残念ながら預金に預け入れ、そのまま金利だけで殖やすというのは難しいと思われます。
金利で運用する際に、参考となるものに「72の法則」というものがあります。
これは、「複利で運用して元本を2倍にする為に要する年数」を「72÷金利%」で計算するものです。

<例えば>
約30年前(1990年)の銀行の1年定期の金利は約6%です。
「72÷6=12」となり、資産が2倍になるの12年を要するという事になります。

それでは現在の金利では如何でしょうか?

現在、1年定期預金の金利は高いと言われるネット銀行で0.1%前後ですので、
「72÷0.1=720」となり、なんと720年を要します。

ここからは、「優遇税制制度」「積立」「複利運用」という視点から以下の2つの制度をご紹介させて頂きます。

①「積立NISA(Nippon Individual Savings Account)」

利用できる方は、日本へお住まいの20歳以上の方で、NISA口座との併用は不可となります。

2018年~2037年まで毎年、年間40万円を上限に、金融庁が定めた投資信託商品を対象に積立投資ができます。尚現在、2037年までの期限を定めず、いつ始めても20年間積立出来るような法改正が検討されております。

メリット

1、値上がり売却した場合の譲渡益や分配金が非課税
通常20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)がかかりますが、非課税となります。

2、少額で投資が始められる
取扱金融機関によっては月100円から積立が出来ます。

3、いつでも換金できる
緊急の資金が必要になった場合や値上がりの際、資金を引き出しする事が可能

デメリット

1、数ある金融機関から、自分で金融機関を選択して口座を作成する必要がある
投資信託の投資商品もご自身で選択する必要があります。

2、投資は自己責任であり、マイナスの運用結果となる場合がある
基本的には将来の資金形成を目的とした制度である為、高リスク・高手数料の商品はありません。目先の運用結果に一喜一憂せず、継続する事が重要です。

3、運用管理を自分で行う必要がある
長期での運用になる為、ケースによっては投資信託商品の見直しや、投資金額を変更する必要もあります。定期的に、運用状況を確認し、疑問があればFP等の専門家に相談するのも選択肢のひとつです。

この制度は、投資経験が初めての方で、将来の資金形成(お子様の教育費やマイホーム費用準備、老後の生活資金準備)をしたい20歳代~40歳代後半まで幅広く活用出来ると思います。

②「iDeCo(イデコ)(individual-type Defined Contribution pension plan)」

個人型確定拠出年金のことで個人版401Kとよばれる事もあります。

利用出来るのは国民年金の第1号被保険者である個人事業主、主に勤務先に退職金制度がない国民年金の第2号被保険者となります。こちらで該当するのは中小企業のサラリーマンの方が多いと思われます。20歳から60歳の方が対象となります。

*詳細は国民年金基金連合会HP(https://www.ideco-koushiki.jp/)でご確認願います。

メリット

1、運用期間中の運用益が非課税
運用中の利益に課税がされないので複利での運用効果があります。
また、60歳以降で一時金で受取った場合「退職金税制」が適用となります。

2、掛金が全額控除の対象となる為、節税効果がある
掛金は、小規模企業共済の欄で全額控除出来ます。勤務先に退職金制度がない第2号被保険者の場合、毎月23,000円(年276,000円)が上限です。

3、ポータビリティがある
転職等で会社がかわる場合(転職先の退職金制度に異なりますが)、転職先で継続する事が可能です。又現在では、第3号被保険者である専業主婦の方も毎月23,000円を上限とし継続が可能となっております。

デメリット

1、60歳まで資金を引き出せない
一定条件を除き、緊急の資金が必要なケース等でも資金を引出す事が出来ません。

2、転職先の退職金制度によっては継続出来ない場合がある
この場合、貯まった資金は国民年金基金連合会にて管理されます。運用は継続されますが、手数料が毎月引き去りとなる為、資産がマイナスとなるケースも考えられます。

3、運用管理や転職時の手続きは自分自身で行う必要がある
制度を始める際の手続きや、運用商品の選択、その他変更時の手続きをご自身で行う必要があります。

iDeCoは原則60歳まで引き出すことが出来ない為、主に老後資金形成が目的となるケースが多いと思われます。月5,000円から積立出来る為、積立NISAと併用しライフステージに応じて、掛金の変更をするのが良いと思います。

積立NISA・ iDeCo比較表

  積立NISA NISA iDeCo 一般口座
年間投資額の上限 40万円 120万円 14万4000円~81万6000円(職業、加入している年金の制度により異なる) 上限なし
お金を出す(拠出する)時 所得控除の対象にはならない(課税) 所得控除の対象にはならない(課税) 所得控除の対象(非課税) 所得控除の対象にはならない(課税)
運用時 非課税 非課税 非課税 課税
運用期間 20年 5年(最長10年) 加入から、60歳まで

(10年間延長可能)

制限なし
途中換金 いつでもOK、ただし非課税枠の再利用不可 いつでもOK、ただし非課税枠の再利用不可 原則出来ない いつでもOK
損益通算 できない できない できない できる
運用できる商品 長期投資向け投資信託など 株・投資信託・ETF・REIT 定期預金・投資信託・保険商品 制限なし
資金の引き出し いつでもOK いつでもOK 60歳まで原則不可能 いつでもOK

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