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死後事務委任契約で起きるトラブルは?遺言書との違いや対策方法も解説

死後事務

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生前に死後事務委任契約を締結しておくことで、葬儀やお墓の手配、形見分けといった死後事務に関する希望をかなえられます

しかし、死後事務委任契約を結ぶ際はいくつかのポイントに注意しなければ、思わぬトラブルを招きかねません。

この記事では、死後事務委任契約の基本やトラブル事例とその対処方法を解説します。

死後事務委任契約の内容は?遺言書との効力の違い

死後事務とは、人の死後に発生する各種事務手続きの総称です。具体的には、通夜や葬儀、納骨、埋葬、電気ガス水道の停止、入院していた病院や入所していた介護施設の料金精算などの手続きが死後事務に該当します。

これらの死後事務を「委任」という形式で他者に依頼する契約を「死後事務委任契約」といい、依頼者の希望通りの死後事務を実現する手段として近年注目を集めています。

死後事務委任契約を検討するなら、まずは、死後事務委任契約で実現が可能なことと不可能なことを区別して、それぞれを理解するところから始めましょう。

混同されやすいのは、死後事務委任契約と遺言書の効力の違いです。死後事務委任契約では「遺産相続」に関する意思表示に法的な効力はありません。遺産相続に関する意思表示は、遺言に残す必要があります

一方で、遺言書に死後事務に関する希望を記載しても、希望通りの死後事務手続きの実行を相続人に強制することはできません。遺言書に記載された死後事務の希望はあくまでも「故人からのお願い」という位置付けだからです。

死後事務委任契約と遺言書は併用することが出来るので、死後事務と遺産相続それぞれに明確な希望がある方は、両方を活用して意思表示しましょう。

なお、死後事務委任契約の内容は、死後の事務手続きのうち比較的短期間で終了するものに限ることが望ましいとされています。

死後事務委任契約とは|おひとりさまにおすすめ?手続きの流れや費用を解説

死後事務委任契約のトラブル事例

死後事務委任契約によるトラブルを防止するために、以下で紹介するトラブル事例を参考にしながら、慎重に契約内容などを決定しましょう。

親族が契約内容を詳しく把握できていなかった

親族が死後事務委任契約を把握していなかったために起こるトラブルもあります。

死後事務委任契約は委任者(依頼する者)と受任者(依頼される者)間の契約なので、依頼者から知らせない限りは、たとえ親族であっても契約の存在や内容を知ることはありません

委任者の死の直後というのは、遺族にとって心身ともに落ち着かない時期です。そんな時に死後事務の受任者を名乗る者が突然現れても、契約の存在すら知らない遺族からしてみれば、容易に受け入れられるものではありません

受任者に対する不信感から、遺族が非協力的な姿勢になり、結果として死後事務がスムーズに進まなくなる恐れがあります。

また、遺骨の行方や形見分けの品の扱いといった遺族間の意見が対立しやすい点については、たとえ死後事務委任契約で取り決めをしていたとしても、遺族間の感情のもつれからトラブルにつながる可能性があるため、配慮が必要です。

運営会社の破産や倒産によって事業が中断された

死後事務委任契約の受任者が会社である場合、会社の倒産や事業の中止が思わぬトラブルにつながる恐れがあります。

個人と死後事務委任契約を結ぶのは、きちんと希望を叶えてくれるか不安だ……と思う人は多いですが、会社も破産や事業撤退などのリスクがあることを考えておくべきでしょう。

行政庁からの認定を受けた公益財団法人であったとしても、永遠の存続が保証されるわけではありません。

会社であろうと公益財団法人であろうと、事業の継続が何らかの理由で難しくなれば、依頼者の希望する死後事務が実現されないまま契約終了に至る可能性があります。

過去には、身元保証や死後事務を請け負った会社が倒産した結果、依頼者に何の保証も返金もなく契約が終わってしまった事例もありました。契約を締結する際は、受任者となる会社の経営状態を事前に調べる程度の対策はしておくべきでしょう。

解約しようとしたときに預託金が返還されない

何らかの事情で死後事務委任契約を解約する際に、預託金が返還されずトラブルになってしまうことがあります。預託金とは、契約の履行に必要な費用として、あらかじめ依頼者から受任者にまとめて預けておく金銭のことを指します。

預託金のトラブルが生じやすいのは、例えば、最初の契約から死後事務委任開始までの期間が長くなる場合です。開始までの期間が長いほど、存命中に依頼者の経済状態が悪化し、解約に至るケースは増える傾向にあります。

死後事務を請け負う会社の中には、預託金を売り上げとして計上することで資金繰りを何とかこなしている会社も存在します。

そういった会社を選んでしまった場合は、預託金の返還に応じてくれないリスクがあるため、注意が必要です。返金トラブルを予防するために、解約時の規定や、預託金の保全についても契約前にしっかり確認しておきましょう。

死後事務委任契約のトラブル回避のためにできること

ここからは、死後事務委任契約にまつわるトラブルを防ぐために必要な対策を解説します。

死後事務について家族に伝えておく

死後事務手続きをスムーズに進めるために、死後事務委任契約の存在を家族に伝えておきましょう。また、可能であれば、契約の内容についても親族の同意を得ておくことをおすすめします。

事前に親族に話が通っているのといないのとでは、いざというときに死後事務手続きの進めやすさが格段に違ってくるからです。

なお、親族が受任者に対して不信感を抱いてしまうと、死後事務手続きに支障が出ます。依頼者の死後に受任者と親族が対立しないように、受任者の詳細についても事前に親族に説明しておくなどの配慮が必要です。

また、遺骨の行方や形見分け品の扱い、受任者への対価などの、家族間でも価値観や意見の相違が出やすいポイントを死後委任契約の内容にする場合も注意が必要です。

トラブルの芽になりそうな部分に関しては、死後事務委任契約の締結前に家族会議を行ったり、受任者へ問い合わせたりして、しっかりと意見のすり合わせをしておくと良いでしょう

加えて、受任者が親族などと協調しながら死後事務手続きを進められるように、親族などの連絡先や連絡方法も受任者に伝えておくことをおすすめします。

預託金を預ける際には業者を慎重に選定する

死後事務手続きにかかる費用は手続き内容によって異なりますが、死後事務の委任をサービスとして提供する会社に依頼するケースでは報酬と契約書作成手数料で約50~100万円、預託金で約50~150万円が相場だとされています。

依頼者が死亡すると依頼者の銀行口座は凍結されるため、受任者が依頼者の口座から死後事務手続きの費用を勝手に引き出すことは原則としてできません。つまり、預託金はスムーズな死後事務を実現するための大切な備えなのです。

とはいえ、依頼者からすれば見知らぬ会社に多額の金銭を預けることに変わりなく、預託金の扱いには不安が伴うことは否めません安心して死後事務委任契約を結ぶためにも、預託金の管理方法についても事前に確認しておくことをおすすめします

たとえば、顧客から預かった預託金は会社で管理せずに信託銀行や信託会社に預けるといった、安全に保管できる仕組みがあるかどうかを確認しておくと良いでしょう。

また、預託金を預ける際は、事業者の経営状態や資金繰りの状況を可能な限り調査して、リスクの大小を自分なりに判断したうえで契約するかどうかの判断を下すことが望ましいです。

事前に解約時の預託金返還の流れを確認しておく

多額の預託金が必要な死後事務委任契約においては、契約締結前に契約内容と預託金返還の流れを確認しておきましょう。

サービス内容や料金の仕組みをよく理解せずに契約を締結してしまうと、納得のいかないお金を支払うことになりかねません

自分にとって不要なサービスや内容の不明瞭なサービスが契約に含まれていないかどうかを確かめるために、契約書は必ず細部まで読み込みましょう。

また、何らかの事情で後から契約を解除しようとしても、契約内容によっては預託金の返還を受けられなかったり、返還の必要性をめぐる争いが生じたりするリスクもあります

解約時に預託金が返還されるまでの流れや方法について少しでも疑問点や不明点があるなら、納得できる答えが得られるまで話し合いを重ねるのが大切です。

もし死後事務委任契約の預託金の返還をめぐるトラブルが発生してしまった際は消費者センターに相談して、しかるべき対処を取りましょう。

死後事務委任契約の締結を検討したほうが良い人とは?

死後を託せる人が身近にいない方は、死後事務委任契約をサービスとして提供している会社を探してみましょう。インターネットで検索すればすぐに候補が出てくると思います。

おひとり様や子供のいない夫婦、内縁関係の夫婦、同性のカップルなどの方々で、親族などに死後事務をお願いするのが難しい人には、死後事務委任契約が心強い備えになるでしょう。

親族が高齢や病身のため死後事務を依頼するには不安があるという場合や、面倒な死後事務で迷惑をかけたくないといった場合にも、そうしたサービスの利用がおすすめといえます。

そのほか、散骨や樹木葬などの希望を確実にかなえたいが、親族や友人にはそういった希望を秘密にしておきたい人にとっても、会社との死後事務委任契約の締結が適していると言えるでしょう。

死後のお手続きが不安な方は全国シルバーライフ保証協会の無料相談へ

自分のエンディングに強い理想がある方にとって、死後事務委任契約は理想を実現する唯一の方法かもしれません。正しく活用して、希望通りのエンディングを実現させましょう。

思わぬトラブルを防ぐためにも、過去のトラブル事例を参考に対策を考えた上で死後事務委任契約を締結してください。

死後事務委任契約の活用方法について迷ったときは、全国シルバーライフ保証協会にご相談ください。全国シルバーライフ保証協会は、オーダーメイド型死後事務委任サービス「カナエル」を通じてあなたの希望する死後事務手続きを実現します

まずは、無料の電話相談であなたの悩みや希望をお気軽にお話しください。知識と経験が豊富なスタッフが、あなたの気持ちに寄り添うサービスを提案します。

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この記事の担当者

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

水久保 博正行政書士|ベストファーム行政書士法人 社員行政書士

法律事務所勤務を経て、2015年ベストファーム入社、相続・遺言の面談を担当し、現在は、東京シルバーライフ協会の身元引受契約者の生前・死後の委任契約と任意後見契約公正証書、遺言公正証書の作成支援を担当。

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