「身寄りがない場合の終活で困ることを知りたい」「身寄りなしでも終活で頼れる制度があれば知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、身寄りがない人の終活において、どのような点に注意して準備すればよいのか解説します。終活で利用できるサポート制度や法律、費用についても解説するのでぜひご参考にしてください。
おひとり様(身寄りなし)の終活の実情
まずは公的なデータを元に「日本の総人口と高齢化率」「65歳以上人口に占める一人暮らしの割合」を解説しながら、終活で想定されるトラブルを紹介します。
おひとりさまの高齢者は増えている
内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」によると、令和3年10月1日時点の 日本の総人口は1 億 2,550 万人となっています。
そのうち、65 歳以上の人口は3,621 万人であり、総人口に占める高齢化率は 28.9%です。
一人暮らしの人も年々増加の一途を辿っており、それに伴い「65歳以上人口に占める一人暮らしの割合」も増え続けています。
たとえば昭和55年の段階では男性4.3%、女性11.2%でしたが、令和2年は男性15.0%、女性22.1%となっており、男性で4倍以上、女性は約2倍の増加率です。
統計上、おひとりさまの高齢者は増えているという実態がわかります。
出典:令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)|内閣府
身寄りがない方の終活で想定されるトラブル
身寄りのない高齢者の終活で想定されるトラブルには、以下のような内容が挙げられます。
- 入院時や介護施設入居時の身元保証人を準備できない
- 支援してくれる身寄りがいないので要支援・要介護時に自宅で過ごすのが難しい
- 判断能力の低下で財産管理が難しくなったときに助けてくれる人がいない(誤った契約を結んだり、詐欺被害にあいやすくなったりする)
- 葬儀を行う人やお墓に納骨してくれる人がいない
- 意図しない相手に財産が相続されてしまう
上記のような事態を避けるには、役立つ制度や法律を押さえることが大切です。次章で一つずつ紹介していきます。
【身寄りなしの終活】もしものときに知っておくべき制度や法律
高齢者が身寄りなしで生活していく上で、もしもの時のために覚えておきたい「身元保証会社」「介護保険制度」「成年後見制度」「死後事務委任契約」「遺言書」について解説します。
【身寄りなしの終活①】身元保証会社に相談する
基本的に老人ホームのような介護施設は、入居時に身元保証人が求められます。身元保証人は本人の代わりに各種手続きを行ったり、費用の支払いの連帯保証を行ったりします。
しかし身元保証人には家族がなるケースが多いため、身寄りのない高齢者が身元保証人を立てることは容易ではありません。
その際は身元保証会社の利用を考えてみてください。介護施設の見学時に、身元保証会社の利用についても確認してみましょう。介護施設によっては、身元保証会社を紹介してくれるところもあります。
また遺言書の作成や死後事務委任契約の締結など、終活に関するサービスを提供する身元保証会社も存在します。このように身元保証会社は、身寄りがない方の老後や終活における心強いサービスといえます。
【身寄りなしの終活②】要支援・要介護なら介護保険制度も視野に入れる
「身寄りなしで倒れたらどうしよう」と心配なら介護にも備えておきましょう。
介護保険制度とは、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された制度です。
介護する家族の負担軽減や、本人の自立支援などの目的があり、費用を給付して適切なサービスを受けられるようにサポートしています。
介護保険を利用するには、市区町村の窓口に要介護認定(要支援認定)の申請を行います。その後の審査判定によって、要介護度・要支援度が認定されると、以下5種類の指定されたサービスを利用できます。
- 居宅サービス
- 地域密着型サービス
- 施設サービス
- 介護予防サービス
- 地域密着型介護予防サービス
ただし要介護と要支援で利用できるサービスは異なるため、詳細は市区町村に問い合わせることをおすすめします。
要介護・要支援を簡単に説明すると、要介護は「一人で日常生活を過ごすことが困難な状態」であり、要支援とは「多少の支援が必要な状態」です。
「介護が必要だけれど、家族がいないために自宅で過ごすことは難しい」といった状況になってしまったら、介護保険や施設サービスの利用を考えましょう。
【身寄りなしの終活③】成年後見制度
高齢になってくると判断能力は衰えていきます。判断能力が低下した高齢者を狙った悪質な詐欺などもあるので、高齢者の財産管理は難しい問題です。
身寄りがあれば家族を頼れますが、ない方は成年後見制度などを検討した方が良いかもしれません。
成年後見制度とは、判断能力が低下した場合に「後見人」を立てて財産管理と身上看護(生活、治療、療養、介護などに契約を行うこと)を任せる制度です。
この成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
法定後見制度とは、すでに判断能力が低下している場合に家庭裁判所へ申立てを行った後、審判を経て後見人が選任される制度です。
任意後見制度とは、将来的に判断能力が低下した場合に備え、事前に後見人になってもらえる人と契約を結ぶ制度です。実際に判断能力が減退したときに家庭裁判所へ申立てを行います。
身寄りのないおひとりさまの場合は費用はかかりますが、弁護士や司法書士のような専門家に依頼することで、後見人になってもらうことができます。
【身寄りなしの終活④】死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、死後に必要な事務手続きを第三者に依頼する契約をいいます。
葬儀後の納骨や自宅の片付け、関係各所への連絡や行政手続き、病院や介護施設への支払いなどを一括りに「死後事務」と呼んでいます。
おひとりさまの終活では、この死後事務委任契約を検討される方が多く、頼れる親族がいない人にとって、安心して老後を過ごすために有効な手段の一つです。
なお、身元保証人や成年後見人には死後の手続きまで任せられないため、死後事務委任契約はそれらと併用する形で利用されることも多くあります。
死後事務委任契約について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【身寄りなしの終活⑤】遺言書
遺言書とは主に「自分の死後、誰にどのくらいの財産を渡すのか」という意思を示したものです。
基本的に財産を受け取れるのは、故人の配偶者や子どもである法定相続人ですが、遺言書によって異なる意思を示せます。ただし一定の法定相続人の遺留分(保障された相続財産の割合)は侵害できません。
また家族や親族がいないまま亡くなった場合も、他人は勝手に財産を処分できません。
持ち家があれば傷んだり、車は放置されたりしますが、最終的には手続きを経た結果、国のものになります。そのため、遺言書によって財産の行き先を決めておくことが大切です。
身寄りのないおひとりさまは法定相続人がいなかったり、法定相続人がいても疎遠だったりするケースが考えられます。
その場合に遺言書を作成することで、親しい友人や会社に財産を残すことが可能です。慈善団体への寄付も実現できるでしょう。
このように遺言書を残すことで、希望に沿った遺産の分け方が可能になります。ただし遺言書作成には厳格なルールがあるので注意が必要です。
身寄りなしのおひとりさまの終活に死後事務委任契約が欠かせない?
前述したように身寄りのない方の終活では、死後事務委任契約の検討が欠かせません。ここでは「身元保証契約・成年後見制度・遺言書との違い」と「死後事務委任契約の費用」を詳しく解説します。
身元保証契約や成年後見制度との違い
死後事務委任契約と身元保証契約の違いとして、身元保証契約は施設入居時の身元保証や買い物代行、病院への付き添いなどに対応しますが、死後事務委任契約は亡くなった後の事務に関する契約であり、契約内容が実行されるまで定期的に行う安否確認以外のサポートはお願いできないケースが多いです。
死後事務委任契約と成年後見制度にも違いがあります。
成年後見制度は判断能力が不十分になった際に財産管理・身上監護を後見人に任せる制度で、死後事務委任契約は「死後」に発生する死後事務を任せる契約です。
身元保証、後見制度、死後事務委任契約は目的も役割も異なり、それぞれの欠点を補うことができます。そのため、状況に合わせて併用することも十分に考えられます。
例えば、判断能力が低下する前に任意後見契約を締結して財産を守る準備をし、死後事務委任契約を締結して、自分の死後にも備えておくといった組み合わせが考えられます。
身寄りなしの方だけでなく、家族に迷惑をかけたくないという理由で、これらを検討する方もいらっしゃいます。
遺言書で死後のことを任せる人が指定できるか
遺言書内では遺言執行者を選任できます。遺言執行者とは、遺言書に記載されているとおりに相続手続きを行う人のことで、その根拠となる条文は民法1012条です。
遺言執行者の権利義務として、次のように定められています。
「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」
死後事務委任契約も遺言書も死後に関わりますが、手続き内容に違いがあります。
遺言書では遺産の相続に関わることしか指定できません。一方、死後事務委任契約では遺産の相続以外の死亡届の提出、葬儀・お墓の手配といった死後の手続きなどをある程度自由に契約で取り決められます。
つまりどちらか一方だけでは死後の準備としては不十分なので、両方準備しておくことが大切です。
死後事務委任契約にかかる費用はいくら?
死後事務委任契約は「誰に依頼するか」によって費用が異なります。一般的には司法書士のような専門家に依頼することになり、費用の目安は次のとおりです。
- 死後事務委任報酬:約50~100万円
- 死後事務委任契約書作成料:約30万円
- 公証役場の手数料:約1万1,000円
- 預託金:ケースバイケース
死後事務委任報酬とは、死後の葬儀、納骨、永代供養、自宅の片付け、行政手続きなどの費用です。事務手続きの範囲によって費用は異なりますが、50〜100万円が目安となります。
死後事務委任契約書作成料を専門家に依頼する場合は約30万円、同書類を公正証書にする場合は公証人への手数料として1万1,000円が必要です。
預託金は死後事務に必要な費用をあらかじめ見積もったうえで、受任者に預けるお金を指します。依頼者が亡くなると預貯金の口座は凍結されるので必要です。
葬儀や納骨の費用、遺品整理、各種支払いなどによって金額は異なります。
身寄りがない人の終活は全国シルバーライフ保証協会の無料相談へ
身寄りのない高齢者は年々増えているという実態があります。そこで終活で頼れる制度・法律として、「身元保証会社」「介護保険制度」「成年後見制度」「死後事務委任契約」「遺言書」を検討するとよいでしょう。
特に死後事務委任契約は、亡くなった後の事務手続きを幅広く依頼できるため、選択肢の一つとして準備しておくと安心です。
「カナエル」では、オーダーメイド型の死後事務委任契約に対応しています。死亡時の駆け付け、葬儀・火葬・納骨、行政手続き、居宅・自宅の遺品整理など、希望するサポートを組み合わせてお選びいただけます。まずは以下よりご相談ください。
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