高齢化が進行している日本では、未婚率や離婚率の増加も相まって、高齢者のおひとりさまが増えています。
おひとりさまは1人の時間を有意義に過ごし、人生を謳歌できる一方、自身の身に何かあったときは家族がいない分、友人や知人に頼らざるをえません。
そのため、実はおひとりさまこそ「終活」が非常に重要といえます。
しかし「具体的に何を、どのように進めればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、おひとりさまの終活でやるべきことを紹介します。
合わせて、死後に発生する事務整理を生前に第三者に依頼する「死後事務委任契約」についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
どうしておひとりさまに「終活」が必要なのか。そのメリットは?
終活とは、今までの人生を整理し、人生の最期に向けた準備や今後の人生をより良く生きるために活動することです。
不用品の整理や遺言書作成など、「死後に残された家族が困らないようにするため」といった意味合いで使われるケースが多いものの、実は身寄りがいないおひとりさまこそ、
終活が必要といえます。
おひとりさまの孤独死のリスクは高いです。
内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人がいる世帯は全世帯の約半数となっており、令和元年の統計では全世帯の49.4%を占めています。
さらに東京23区内における1人暮らしのうち、65歳以上の自宅での死亡者数は4,238人(令和2年度)と多数発生しています。
何の対策もせずに孤独死すれば、遺品の整理や行政への手続きも滞り、財産なども遠戚の方に相続されることになります。
おひとりさまこそ、孤独死のリスクに備えて終活する必要があるでしょう。続いて、おひとりさまが終活するメリットについても押さえておきましょう。
出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
【メリット1】孤独死のリスクを軽減できる
先述したように、おひとりさまは孤独死のリスクが高いといえますが、終活によってそのリスクを軽減できます。
「地域のコミュニティなどのつながりがない」「隣近所と付き合いがない」おひとりさまの場合、自分の身に何かが起きても、すぐに誰かに発見してもらうことは難しいです。
しかし終活の一環として、「いざというときのために友人・知人に安否確認を依頼しておく」「自治体の見守り・訪問サービスを利用する」などの対策を講じておけば、孤独死のリスクを軽減できるメリットがあります。
【メリット2】死後に他人に迷惑をかけてしまう不安を解消できる
おひとりさまで家族などの身寄りがない場合、「自分が死んだらお葬式はどうしたらいいのか…」「お墓に入れず無縁仏になるかも…」といった自分の死後に対する不安を抱えるのは当然です。
しかし、そのような漠然とした不安を抱いたままでは、健全な日常生活を過ごしづらいものです。
終活によって死後に発生する手続きをどうするか生前に決めておけば、不安で頭をいっぱいにすることなく、余生を過ごせるメリットがあります。
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おひとりさまの終活でやるべきことは?
おひとりさまが終活で主にやるべきこととして、「生前整理(身辺整理)」「医療や介護の準備」「身元保証人の確保」「葬儀やお墓の取り決め」「遺言書」「エンディングノート」「見守り・訪問サービスの申し込み」の7つです。それぞれ解説します。
生前整理(身辺整理)をする
生前整理(身辺整理)とは、生きている間に身の周りのものを整理整頓する行為をいいます。
処分するものと残すものを決めたうえで、実際に不要品を処分すれば、家の中がすっきり片付きます。家の中で、必要なものも探しやすくなるでしょう。
ものの整理整頓以外に、以下の項目も生前整理の対象となります。
- 銀行のキャッシュカード、クレジットカード
- 保険、年金関係
- デジタルデータ
- 人間関係
銀行のキャッシュカードやクレジットカードは、預金口座などの情報と共にまとめておくことが大切です。
保険・年金関係も書類一式をまとめたうえで、自分の死後に必要となる連絡先を書き残しておきましょう。
デジタルデータはSNSのIDやパスワード、有料サービスの解約や写真・動画などの整理を指します。頻繁に利用していないサービスがあれば、解約を検討してください。
人間関係の整理は、本当に気の合う人とだけ交流したり、SNS上の不要なつながりをブロックするなどのシンプル化がポイントです。
おひとりさまの終活における生前整理は、「断捨離」の意味合いが大きいでしょう。
断捨離とは、単にものを捨てるだけではなく、「ものに執着せず生きる」という考え方を指します。自分にとって「本当に必要なもの」に気づくことにより、その後の人生がより豊かになります。
医療や介護の準備をしておく
おひとりさまの場合、同居家族がいない状態で病気になったり、体が不自由になったりした場合、「その後、どのように過ごせばよいのか」という課題と向き合わなければなりません。
まずは自分の希望として、入りたい高齢者施設や終末医療などの意思を固めておきましょう。
厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(改訂版)」によると、人生の最終段階における医療で本人による意思決定ができない場合は、家族が本人にとって最善の方針をとることができるとされていますが、頼れる家族・親族がいない場合は、長年の信頼関係を築いた友人に最善の選択を委ねられる可能性があります。
出典:厚生労働省|「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(改訂版)」
また、任意後見制度を利用して任意後見人を立て、判断能力が衰えたときのために、あらかじめ自分の希望を伝えておくことも大切です。
任意後見制度とは、判断力が低下した将来に備えて、自分の代わりにお金の管理などをしてもらえる任意後見人を選んでおく制度です。
契約内容も報酬額も自由に決められますが、任意後見人には死後の手続きを依頼できません。
身元保証人を探しておく
老人ホームへの入居や病院に入院する際は、身元保証人が必要なケースが多いため、事前に探しておくことが大切です。
身元保証人の役割は、緊急時の連絡先にとどまらず、医療・介護施設の費用の支払いが滞った際は、本人に代わって支払う必要があります。
そのため気心の知れた友人・知人には頼みづらいでしょう。
おひとりさまの高齢者で家族・親族がいない、もしくは親族に頼みづらい場合は、身元保証サービスの利用も検討しましょう。
身元保証サービスの運営元は営利を目的としない一般社団法人やNPO法人、民間企業などです。サービス内容や費用はそれぞれ異なるため、まずは比較検討することが大切です。
運営元によっては身元保証サービスだけではなく、葬儀の手配や納骨・遺品整理など、死後の手続きについても委任できるサービスも併せて提供する場合があります(死後の手続きについては後述します)。以下の記事も参考にしてください。
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自分の葬儀やお墓について決める
おひとりさまの終活では、葬儀やお墓についても自分で決めておく必要があります。希望の葬儀内容を葬儀社と生前契約するだけではなく、事前の支払いも可能です。
ただし身寄りがない場合、死後の手続きを委託するサービスの契約が必要になります(詳しくは後述します)。
お墓に関しては、後継者を必要としない「永代供養」を希望する方もいます。
永代供養とは、墓地や霊園を管理しているお寺によって供養してもらえる形式です。葬儀同様、生前契約が可能なので、希望するお墓を選んでおくとよいでしょう。
財産について確認し、遺言書を作成しておく
おひとりさまの終活では、財産の全体像をまとめることが大切です。
その際は不動産や預貯金、有価証券といったプラスの財産だけでなく、ローンなどの負債も必要です。収支の把握は、財産管理を他者に依頼する際にも役立ちます。
相続人が不在で「療養看護をしてくれた人やNPO法人に財産を残したい」などの希望がある場合は、遺言書を作成し「遺贈」も検討します。
おひとりさまで遺言書がない場合、最終的に財産は手続きを経て国のものとなります。
お世話になった方に遺贈を希望していても遺言書がないと、お世話になった方自身が家庭裁判所に対して特別縁故者に対する相続財産分与の申し立てをしなければならず、これも必ず認められるわけではありません。
そのため遺言書の存在は重要ですが、決められたルールに則って作成する必要があります。
エンディングノートにまとめて書く
エンディングノートとは、自分の死後を想定して残すメッセージです。
ここまで紹介した「生前整理でまとめた情報」「生前契約の内容」「財産一覧」「身元保証人」「遺言書の有無」などをまとめておきましょう。
他にも以下のような情報を記すことが大切です。
個人情報には氏名、生年月日、住所、電話番号、本籍、保険証・免許証・パスポート、家族構成、学歴・職歴、趣味・特技、大切な思い出などを記します。
ペット関連の情報は、死後にペットの世話ができないことを想定したうえで、ペットの名前、生年月日、性別、持病などを記載します。
おひとりさまが急に倒れたり亡くなったりすると、死後の手続きを託された人が判断しなければならないため、事細かな記載が大切です。
高齢者の見守り・訪問サービス等に申し込みをしておく
自治体では、1人暮らしの高齢者や見守りが必要な人を対象に、訪問員による定期的な訪問を行っています。
内容は自治体によって異なるものの、主に声かけによる安否確認や困りごとの相談、買い物支援などに対応しています(費用は無料)。
自治体だけではなく、民間企業が実施する見守りサービスもあるため、比較検討するとよいでしょう。ただし民間企業の場合、自治体とは異なり月額料金が発生します。
費用目安も!死後事務委任契約で対策しよう
死後事務委任契約とは、自分が亡くなったあとに行わなければならない手続きを第三者に委任する契約のことです。
身寄りのないおひとりさまの終活では、特に重要といえます。
「生前に死後の希望を伝えられる」というメリットがある一方、「専門家に依頼すると費用が発生する」という点はデメリットです。
専門家は、一般的に司法書士などに依頼します。
死後事務委任契約を締結する際は、具体的な内容を契約書に記載しなければなりません。主な死後事務委任の内容には、以下のものがあります。
- 葬儀や納骨・永代供養などの手続き
- 親族や友人・知人への連絡
- 家賃や介護費用・医療費などの精算
- 部屋などの清掃や家財の処分
死後事務委任契約の費用は、「誰にどこまでお願いするのか」によって変わります。主な費用の目安は以下の通りです。
- 死後事務委任契約書作成料:約30万円
- 死後事務委任報酬:約50万円~100万円
- 公証役場の手数料:約1万1,000円
- 預託金:金額はケースバイケース
先述したように、任意後見人には死後の手続きを委任できません。死後の手続きを第三者に依頼する場合は、生前に死後事務委任契約を結ぶ必要があります。
なお、身元保証と死後事務委任契約がひとつのパッケージとなっている商品もあります。
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おひとりさまは、生前リスクと死後のリスクを踏まえた終活が大切です。
生前リスクとして、頼れる親族がいない場合は任意後見制度を検討したり、身元保証人を探したりする必要があります。誰にも身元保証人を頼めない場合は、身元保証代行サービスも検討しましょう。
死後のリスクとして、自分が亡くなったあとに行うさまざまな処理や処分、手続きについてしっかり考えることが大切です。
たとえば、葬儀やお墓を生前に契約していても、第三者に伝えなければ実行されないリスクがあります。死後事務サービスの利用によって、そのような不安は解消します。
40代、50代のおひとりさまも、老後について悩みや不安を抱えている場合、一般社団法人全国シルバーライフ保証協会へお気軽にご相談ください。
遺言書作成をはじめ、身元保証、任意後見、死後事務委任(葬儀・納骨支援)など、おひとりさまが抱えるさまざまな悩みをサポートしています。
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